歌舞伎俳優の十五代目 片岡仁左衛門さんが文化勲章を受章することになり、会見を行いました。

受章にあたり片岡さんは“電話をもらった際は「えーっ!」と驚き、説明を受けてありがたくいただくことにしました”と語りました。その後、仏壇の両親や亡くなった兄弟に報告をしたそうですが、そこで落ち着いた際にあらためて“自分がいただいてよいのだろうか?自分には大きすぎるなと正直、思いました”と素直な当時の心情を明かしました。

続けて仁左衛門さんは“でもいただけるのはありがたいので、私の子孫への置きみやげとしてという気持ちでいただきました”とお茶目に語りました。
仁左衛門さんは“こういう家に生まれ、自分の好きなことやらせてもらって、こんな大きな章がいただけて幸せだなという気持ち。文化勲章の質を落とさないよう、これからもなお一層精進して、多くの方々に、長い歴史を持つ歌舞伎に興味を持ってもらえるよう努力をしなければという気持ちです”と芸道を全うする意気込みを語りました。

またこれまでの長きにわたる活動を振り返り、うれしかったことについて聞かれると“舞台を務めてお客様に受け容れられている空気を感じたときは、役者にとってうれしいことですね”と語りました。
一方で辛かったことを問われると“舞台に立てなかったときですね。今でこそ安定したお仕事を頂戴していますけども、若い時は「この仕事から去らねば…」と思ったことも。ただそれもこれも、今はうれしい出来事”と笑顔を見せていました。
歌舞伎界の若手に向けてアドバイスを求められると“役を掘り下げる事。先輩たちがやっていたから「こうする」のではなく、その先を考える。私自身も今でも発見がある。「これで良い」の、その上を目指さないと。セリフの裏側を自分でつかまなきゃいけないよと、常々言っています”と言葉を贈りました。

仁左衛門襲名時に大病を患い、死の淵をさまよったという仁左衛門さん。“その時思ったのは「私が継ぐべき人間なら助かるだろう」と、だから神様が命をくれたという責任感と舞台に立てた喜び”と、現在に至る境遇に感謝し、“復帰公演であれだけのお客様が喜んでくれた。おこがましい言い方だが「私を待っていてくれた」という喜びでやってきました”とファンへの感謝を語りました。
受賞式典となる「文化勲章親授式」は、「文化の日」である11月3日に皇居にて行われます。
<当世・十五代目 片岡仁左衛門プロフィール>
昭和19年(1944)3月14日、十三代目片岡仁左衛門の三男として大阪に生まれる
昭和24年(1949)9月、大阪・中座にて『夏祭浪花鑑』市松で本名の片岡孝夫で初舞台
平成10年(1998)1・2月 歌舞伎座にて「吉田屋」の伊左衛門、「助六曲輪初花桜」の助六ほかで十五代目 片岡仁左衛門を襲名
平成18年(2006)年 紫綬褒章
平成27年(2015)10月 重要無形文化財保持者各個認定(人間国宝)
平成30年(2018)11月 文化功労者
【担当:芸能情報ステーション】