「ありました!これが世紀の大発見」

煙貫の壁面に刻まれたこの印、「のみ角(かど)」です。久間教授が坑道調査をする中で発見しました。

坑夫が1カ月ごとに印をつけ、その掘った距離に応じて賃金を貰えたそうです。世紀の大発見というその理由は…

【松江高専 久間英樹 教授】「これがあるということは、この空間は少なくとも1600年代のそのままの状態が遺っているということ。

江戸時代、佐渡が金山として全盛期にあった、それをもって日本が交易をしてヨーロッパの経済を活性化した事実は曲げられないというか、佐渡金山が江戸自体に開発されていた証拠にはなる、これを見れば。絵図はもしかしたら想像かもしれない、これは想像じゃない」

坑道を進んでおよそ300m、最後にカメラが捉えたのは穴が石で塞がれた様子でした。実はこの先に、巨大な「大切脈(おおぎりみゃく)」が見つかりそれまで投資したお金を上回るだけの金が採れたそうです。

【松江高専 久間英樹 教授】「この先10mのところに味方さんが全財産を投げうってやった夢のあとがある。私は当時の人の思いを知りたい。どういうモチベーションで14年間やったのか。近いうちにここも入れなくなるでしょうね、自然の風化です」

久間教授の調査に協力するゴールデン佐渡は現在、この大切山坑を一部、公開しています。坑道を維持管理するスタッフ達は久間教授の調査で知り得たことが多いといいます。

【ゴールデン佐渡鉱山部】「開拓者です。久間先生がここが貴重だと教えてくれた。2本掘ってあるのもなぜか分からない」

久間教授は、佐渡の金山調査は今回が最後だとしています。教授にとってこの地は、坑道計測だけに終わらず、豊富に残されている当時の絵図と照らし合わせ、佐渡金山に夢を見て追いかけた時代を証明することができる唯一無二の場所。世界遺産登録も期待しています。ただ、その価値は、見る人自身が決めて欲しいと望んでいます。

【松江高専 久間英樹 教授】「(登録延期は)残念だけど価値は変わらないです。私の中では。それを世界遺産として世界の人が認めるかどうかは別だけど、ぜひ来てみなさんが価値を決めればいいと思います。みなさんの中でどんな価値を見出されるか別ですけど、ぜひ遺していこう、世界の人に伝えていこうという思いにはなって欲しいですね」