旧統一教会をめぐる「被害者救済法案」その中身をじっくり見ていきます。弁護士からは『困惑させる』の文言に指摘。『自由な判断ができない状況』など別の文言にすべきだというのです。
―――6日に審議入りした旧統一教会を巡る被害者救済法案、規定は大きく【禁止行為と配慮義務】にわかれています。まず【禁止行為】を見ていきましょう。不当な勧誘行為で寄付者を「困惑」させることを禁止し、具体的には「勧誘してくる人に対して退去を求めても立ち去らない」「恋愛関係の破綻を告知する」「霊感を用いること」などが明記されています。
―――この禁止行為に関して、全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士・阿部克臣さんの見解はいかがでしょう。
はい。取り消し権が付与されているのは「困惑した場合だけ」です。統一教会の場合は、最初に正体を隠した勧誘をして、数年かけて少しずつ教義を教え込んでいく、恐怖や不安を少しずつ植え付けていくわけです。そうして信仰を持たせた上で、信仰に基づいて献金をさせるやり方をとりますので、献金した時点だけを見ると、困惑していないように見える。信者本人の意思に基づいて献金しているように見えるので、現在の法律の建付けですと「寄付の時点で困惑」が要件となってますから、外れる場合が多いだろうと考えています。そういう心理状態にさせられている、あたかも自らの意思に基づいて献金してるような形になっているということなんです。
―――阿部さんは「自由な判断ができない状況」など別の文言にすべきとお考えですね。
「困惑」とは、戸惑うとかそういうことを指す言葉ですが「自由な判断ができない状況」など、より広い言葉であれば、統一教会がやっていることを捉えうると思うんです。この自由な判断ができない状況というのは。実は困惑という言葉の意味として、消費者庁のコンメンタール(注釈書)に説明してある言葉になるんですね。だとすれば端的に「自由な判断ができない状況」というのを条文上も規定すればいいと思うんです。
―――対象になる人を幅広く、ということだと思いますが、豊田さんは禁止行為に関してどう思われますか。
(豊田真由子 元衆院議員)
この条文、実は「消費者契約法4条3項」に全く同じのがあって、それを契約じゃなくて寄付っていう行為にも使えるって言っただけなので、ここはそんなにハードルは高くないと思いますが、画期的な条文ではあるんです。阿部先生にお伺いしたいのは「自由な判断ができない状況」って世の中にいっぱいあって「本人は教義を信じて積極的に寄付するが家族が困るケース」や「ギャンブルで親御さんが経済破綻をして子供が困窮するケース」など憲法に反しない範囲で平等を守ったまま、みんなを救うってなると、ものすごく広がっていくので、どういうふうに切り分けができるか、可能性を教えていただきたいです。
(阿部弁護士)
おっしゃる通り、様々な寄付で救済すべきものはあると思うんですね。現在の新法の三条に入っている配慮規定というのは、弱いものですけれども、例えば「家族とか本人の生活の維持を困難にする寄付はしてはならない」という条項が入っていて、例えばそういうものを禁止規定という形で強くすれば寄付を今後救済する道は開く可能性としては出てくるかなというふうに思っています。














