高市早苗氏が自民党の新総裁に就任後、円安が進み、市場関係者の間では、「高市トレード」とも呼ばれています。急激な円安は、企業活動にも影響を与えることから、県内の企業も今後誕生する新政権の経済政策に注目しています。

静岡県森町で製茶問屋を営むおさだ製茶です。茶葉の販売だけでなくお茶を使ったスイーツも提供しています。こちらでは、近年、抹茶の輸出に力を入れています。

<おさだ製茶 長田夏海社長>
「会社のほうで輸出もさせていただいてますけれども、年々右肩上がりで、抹茶の需要は本当に高まっているのを肌で感じている」

長田さんは、円安による売り上げの増加に期待を寄せています。

<長田社長>
「お茶の場合は静岡の基幹産業でもあるし、ずっとここ2、30年悪い状況が続いてきて、業界にとっても右肩下がりだったので。輸出をして茶業界全体が良くなっていけばいいな」

その輸出に大きな影響を与える円相場。このところの値動きは、市場関係者の間で「高市トレード」とも呼ばれています。

<自民党 高市早苗新総裁>
「何としても物価高対策。ここに力を注ぎたいと思っている」

高市氏が掲げる経済政策では積極的な財政出動や金融緩和が見込まれていて、総裁選後、円安が進み、10月13日正午現在の東京外国為替市場は、1ドル=151円91銭から96銭で推移しています。

一方で円安の影響は、県内経済にとってプラスばかりではありません。静岡市駿河区にある飲食店です。人気メニューのロースかつには、海外から輸入した熟成した豚肉を使用しています。

<カフェメルティングポット 近藤晴彦店主>
Q.最近1年でどのくらい値上がりしている?
「10%は上がっている、徐々に。お肉屋にも努力してもらってて、どんと上がることはないが、徐々にジャブが効いてくるような形で」

このほか、牛肉やチーズなども輸入品です。メニューは4月に値上げしましたが、11月にも再び値上げを検討しています。今後も円安が続く可能性に、近藤さんは危機感を抱いています。

<近藤店主>
「ここで政府が変わって良いように景気が回っていけば良いと思うんですけど。だからやることとしては、この辺の(スーパーで)どこで安く売ってるか調べて、そこへ足を延ばして買って安く仕入れて、こちらで努力してお客様に来ていただくしかないですよね」

専門家は、円安がさらなる物価高を招く可能性もあると指摘します。

<静岡経済研究所 恒友仁専務理事>
「(最近の)物価高の要因としては輸入物価の上昇があった。いま円安が進んでしまうということは、その輸入物価をまた押し上げてしまう」

恒友専務理事は、「今後の円相場は次の政権の政策次第」とした上で、現状の極端な円安は県内経済にとって悪影響だと話します。

公明党の連立離脱表明による政局への影響も予想され、10月14日以降の値動きにも注目が集まります。