旧統一教会の信者間で養子縁組が行われていた問題。news23の取材で、財産を奪うために養子縁組が利用されていた可能性が浮かび上がりました。

■「兄弟の中で私だけ悪魔として差別され…」虐待受けた女性が救済の訴え

母親が旧統一教会に入信した女性
兄弟の中で私だけ悪魔として差別され、虐待され、他の兄弟は神の子と扱われるその状況自体も私にとっては生き地獄でした」

野党ヒアリングに出席した女性。
母親は、入信する前に生まれた女性をサタンだと考え、心理的虐待や身体的虐待を繰り返したといいます。

母親が旧統一教会に入信した女性
「あざができるほど殴る。髪をつかみ、振り回し、階段から突き落とすなどの暴行を日常的にする。献金対策の法案だけでなく、未成年の子供が安全に親と宗教から離れ、社会に守ってもらえるような仕組みを作ってください」

こうした声はどこまで届くのでしょうか。

旧統一教会などの被害者救済法案は6日、国会での委員会審議入りが決まりました。
これに先立ち、与党側は救済法案の修正案を提示。寄付の勧誘を行う法人が“配慮義務”を遵守しなかった場合は行政が勧告をし、これに従わない法人については、名前を公表することが盛り込まれました。

■高齢の資産を奪うために養子縁組を利用か 「3億くらいとられていた」

一方、旧統一教会の信者間で養子縁組が行われていた問題。
news23の取材で、信者が財産を奪うために養子縁組を利用していた可能性があることがわかりました。

14年前、20代の頃に子どもがいない高齢夫婦と養子縁組をした男性。

養子縁組をした男性(40代)
「自分は信者とか2世ではないんですけど、仕事でお世話になっていた社長から(高齢夫婦と)養子縁組をしてもらえないかという話しを急にされました」

知り合いの社長の薦めで資産家の高齢夫婦の養子に入ることを決めましたが、その直後から社長は男性に不可解な要求を始めたと言います。

養子縁組をした男性(40代)
「養子縁組が決まってから統一教会のビデオを一日中、教えみたいなものを見させられたりとかして、だんだんと(社長)は信者なんだろうなって」

社長から統一教会の教えを学ぶよう迫られ、韓国の教団施設で修練会にも参加しました。

養子縁組をした男性(40代)
「おそらく自分を信者にさせたかったんだと思います。おそらく、自分を使って財産をとっていこうと思ったんじゃないかと」

次第に募った不信感を男性が社長に伝えると、今度は養父母と接触を控えるよう求めたと言います。
  
養子縁組をした男性(40代)
「養父母に対して『勝手に連絡をしないように』って言われましたね」

程なくして養父は他界しましたが、遺産相続にも社長が口を出してきたと言います。

養子縁組をした男性(40代)
「(養父の)通帳を解約するとき、現金を引き出すときに、社長、もしくは統一教会の信者の人達が必ず同行していました。実印も『あなたが持っているとサタンが入り込むから、これは自分が管理します』って持って行かれてましたね」

その後、男性が調べたところ、養父母は多額の献金や壺などを購入させられていたこともわかりました。

養子縁組をした男性(40代)
「壺を購入した金額が400万円3億円くらいとられてましたね。自分が養子に入ってからは、『あなたの息子さんが病気になって死ぬ可能性があります。神様に献金しなきゃいけませんよ』という言い方をされて、父も母も怖くなってお金を出してしまっていましたね」

社長らは養父母が“息子を思う気持ち”を利用し、献金させたと見られるのです。

旧統一教会問題に詳しい渡辺弁護士によると、高齢者を狙い、信者が養子縁組をするなどして財産を奪い取った疑いがある事例は他にも確認されていると言います。