創業250年を誇る福島県白河市の日本酒の蔵元が、14年前の東日本大震災で被害にあった蔵を建て直し、次の100年を目指して再出発しました。

蔵を建て直したのは、白河市にある有賀醸造です。有賀醸造は「生粋左馬」や「陣屋」などの銘柄で知られています。こちらでは、14年前の東日本大震災など度重なる地震で蔵が被害に遭い、生産を続けてきましたが、次の100年を考え「生粋蔵」と名づけた新しい蔵に建て替えました。

有賀裕二郎社長「古い蔵が全部で3棟建っていて、ひとつが今回解体した旧蔵、その他に2つあって、その2つが大規模半壊状態という状況になっていました」

7日は神事が取り行われ、関係者が新しい酒造りに向けて意欲を新たにしていました。酒蔵の先頭に立つのは、11代目の社長・有賀裕二郎さん(41)。裕二郎さんは東北大学の博士課程で免疫の研究をしていましたが、震災をきっかけに実家の蔵に戻りました。専務の兄、一裕さんは、元薬剤師で理系の兄弟2人で酒蔵の未来を担います。

有賀裕二郎社長「福島の復興の光としてあった日本酒、しっかりとその次の世代、100年後を見据えた事業としてやっていきたいなと感じております」

一方、酒蔵にとって目の前の大きな課題は、食用米と同様に酒米の高値です。今年の新酒の仕込みに必要な新米の価格は去年の1.5倍ほどに値上がりしているといいます。

有賀裕二郎社長「本当に酒米、原料米の価格というのが非常に高騰しております。ただ、今まで続けてきた酒づくりの中でも同じような苦労、困難というのは間違いなくあったと思います」

酒どころ福島を支える兄弟の酒蔵は、厳しい状況の中でも先の100年を見越した酒造りに挑みます。