福島県浪江町の帰還困難区域、赤宇木地区の記録誌。去年の春に完成して以降、様々な立場の人たちから注目を集めていて、いまもその反響が広がっています。こうした中、編集委員の一人が、各地を行脚して記録誌に込めた思いを伝えています。9月に双葉町で行われたイベントを取材しました。

完成した888ページの記録誌

夕暮れの双葉町。駅前にある地域活動拠点で、小さなイベントが開かれました。Tomo's bar「月曜から夜(よ)ふたば」。呼びかけたのは、町内で活動をする
福島大学の松下朋子さんたちです。

上映されたのは、双葉町の隣、浪江町津島地区の住民の声を中心に描いた映画です。いまも大部分が帰還困難区域の津島地区を描いた作品に触れ、集まった人たちで、感じたことなどを共有します。

この日は、津島に関するう1つの作品もテーマとなりました。津島地区のほぼ中央、赤宇木について書いた記録誌です。タイトルは「百年後の子孫(こども)たちへ」。地域の歴史はもとより、住民への聞き取りや放射線量の記録など赤宇木のすべてを記した、888ページの記録誌です。

今野邦彦さん「赤宇木と北の方に見えますが、その地域では0人です。262人の82戸ありましたが、現在はゼロです」

記録誌の編集委員、今野邦彦さん。古い文献の調査や執筆に加え、「百年後の子孫たちへ」というタイトルも今野さんが考案しました。

今野邦彦さん