特集です。全国の白バイ隊員が、運転技術を競う大会があることをご存知でしょうか?高知県警は2024年この大会で11年ぶりに優勝!連覇を狙う高知の白バイ隊を取材しました。
安全運転のスペシャリスト白バイ隊員。ふだんは交通安全のための取り締まりなどを実施していますが、年に一度、全国の隊員が集結し、いかに速く、いかに安全に運転できるかを競う大会が行われています。それが、全国白バイ安全運転競技大会。この大会に、高知代表として参加するのが、高知県警交通機動隊特別訓練員の水門佑介(すいもん・ゆうすけ)隊員です。

(県警交通機動隊 水門佑介 隊員)
「県民の皆さんに高知県警の白バイの技術の高さを自信を持って言えるように結果を残したい」
練習は毎日早朝から行われています。
(Q.朝何時起きですか?)
「朝は5時には起きてます。職場の隣に宿舎があるので、5時で済んでるんですけど、遠い人はもっと早く起きているので、そう考えるとまだ恵まれているほうかなと」
大会には各県警から2人ずつ参加。個人戦と、2人の総合成績を競う団体戦があり、高知県警は去年、団体戦で、11年ぶり7回目の優勝を果たしました。

水門さんが出場する種目の1つがスラローム。パイロンなどの障害物が設置されたコースをいかに早く通過できるかを競います。求められるのはスピードだけではありません。運転中に車体がパイロンに当たったら減点。
足を置くステップを地面に擦っても減点となりますが、速く走るためにはバイクを傾ける必要があり、そのバランスが難しい競技です。

後輩隊員の走りを見てみると・・・バイクを傾けすぎて、ステップを擦ったことが音でわかります。

一方、水門さんの場合、ほとんどステップを擦ることはありません。
こういった練習の積み重ねが緊急走行の際の機動力につながります。
2時間の練習中、ほぼ休むことなくバイクに乗り続けた水門さん。長時間の運転は体にもこたえるといいます。
(県警交通機動隊 水門佑介 隊員)
「猫背みたいな感じで前傾姿勢になるので、腰には負担がかかるんですけど、痛みと戦いながらバイクに乗っています」
練習を終え、高知市にある機動隊の拠点に戻ってきた水門さん。トラックから白バイを降ろしていきます。

(Q.きょうはこれで終わりですか?)
「いえ、これから山の競技の訓練のために別の場所に移動します」
”山の競技の訓練”のために水門さんたちがやってきたのは、香美市の山中にある練習場。大会では、オフロード=悪路でも競技が行われます。

県警は長年、香美市の牧場の土地を借りて練習に臨んでいます。トライアルと呼ばれるこちらの種目ではオフロードバイクに乗って崖や段差を登ったり下ったりします。

(県警交通機動隊 勝瀬貴成 監督)
「足を1歩つけば1点の減点、2歩つけば2点の減点。いかにスタートからゴールまで足をつかずに転倒せずに乗り切っていくかという競技」
さらにコースから逸れたり、マーカーにタイヤが接触すると失格。大会では複数のコースに挑戦し、いかにミスを少なくできるかがポイントとなります。オフロードバイクでの走行は、ふだんの白バイ隊員のイメージとは違いますが、災害時に必要なスキルだといいます。

(県警交通機動隊 勝瀬貴成 監督)
「道路が寸断されて四輪車で先に行けないような場合にはオフロードバイクを使って、がれきを乗り越えて状況を確認する。南海トラフ地震の際にはバイクを使って情報収集をするのが大きな任務のひとつになる」
実際に能登半島地震や能登豪雨では白バイ隊がオフロードバイクで活動した実績もあります。公道と悪路、両方の道での運転スキルが求められる「全国白バイ安全運転競技大会」水門さんは、優勝を目指して大会に臨みますが、その先にあるのは、交通安全への願いです。
(県警交通機動隊 水門佑介 隊員)
「中学生のときに親しかった同級生が家の近くで事故に遭ってしまって、県内の事故を少しでも減らしたいと思ったのが(白バイ隊員を目指した)きっかけ。公道に出た時点で事故のリスクはある。安全運転がいかに大事か訓練を通じて感じている。高い技術を身につけて少しで事故を減らせるよう還元できたら」
大会は9月11日と12日、高知県警白バイ隊は連覇を狙って研鑽を積んでいます。