水面に顔をあげて呼吸することは「死」を意味する

プールでは、水中の基本動作を体に染み込ませるため、反復訓練が続きます。ここで与えられた課題をクリアしなければ次に進むことはできません。

小さいころから水泳を習っていた宮元さんに比べ、水泳歴が浅く、苦手な関さん。体力では宮元さんに劣ります。

海上自衛隊 横須賀基地 護衛艦おおなみ 関広知 2曹
「疲れてくると、自分に弱い心がでてくる。それに打ち勝ちたい」
海上自衛隊 八戸航空基地 宮元陵 士長
「(水中で)焦ったときに、意思疎通が出来ない部分があるので、改善していけたら」

教官「スノーケル無くなってるぞ!顔を上げるな」

水面で行われるこの訓練。実は水中を想定したものです。水面に顔をあげて呼吸することは、溺れること、つまり「死」を意味します。訓練を支えるのは幾多の現場を経験してきた教官たち。厳しい言葉の裏には、「誰一人、死なせはしない」という、学生への強い責任感が込められています。

教官
「バディは、なんで死んだ?バディは、なんで顔上げた?それを家族(遺族)に説明できるように…訓練に臨め」
「パニックになっているやつを見捨てるのか?レジャーダイバーを育ててるんじゃないんだよここは。才能のあるやつだけ残ってくれたらいい。もう一度よく考え直せ!」

海上自衛隊 第1術科学校 潜水科教官 井口昌之 1尉
「プールサイドといったところは鬼になるよと。水面では瞬時の判断が必要ですので厳しく指導していく」

厳しいだけではありません。休憩中には気さくに声をかけ、信頼関係を築いていきます。