能登半島地震から1年9か月が経った高岡市伏木地区。自転車販売店で、電気店で、街のあちこちで楽しいアートに出会うことができます。

自転車販売店には、夜空と海上を彩る大輪の花火の作品が。
牧野サイクル・牧野俊伸さん:
「励みになりゃいいね。絵は人の心を和ませる」


電気店では、ホットプレートの横にかわいいねずみの作品が。
今、高岡市伏木地区では、町のあちこちで楽しいアートに出会うことができます。

9月8日。
アートを運んできたのは、障害者アート支援工房ココペリの米田昌功(よねだ・まさのり)代表です。

障害者アート支援工房ココペリ・米田昌功代表:
「伏木のみなさんもこの作品で楽しんでいただきたいと思っています」
10年以上、伏木を拠点に活動をしている工房ココペリ。障がいのある作家たちが自由にのびのびと創作に取り組み、たくさんの作品が伏木で生まれています。

今回、工房ココペリが町の人たちと企画したのが「伏木まちなか美術館」。店主たちが思い思いにココペリの作品を選んで飲食店や商店に飾るものです。

電気店経営:
「すごいですね、なんか癒される」
カフェ経営:
「なんか素敵、みんなそれぞれ個性があって、美術館に来たみたいで楽しかったです」

工房ココペリ・米田昌功代表:
「アール・ブリュットとか障がいのある人のアートって親しみやすくて、しかもすごく力をくれるものなんだよって伝えることができた機会になったんではないかな」
「おしょうさん」の絵を選んだのは、化粧品店を営む高畑直樹(たかはた・なおき)さん。

タカハタ化粧品店・高畑直樹さん:
「地震でね、廃業や転居で本当商店街もさびれてしまって、うちの通りも商店ほとんどない状態なんですよ。こういったお客さんが少しでも町の中に来られるイベントはどんどんやっていただければ。我々も積極的に参加していきたいなと」

高畑さんの店がある中道(なかみち)通りでは、能登半島地震の後に家や商店あわせて25軒が解体されました。
通りのあちこちが更地となり、人通りはほとんどありません。
タカハタ化粧品店・高畑直樹さん:
「戻ってくる気持ちになるようなことを進めていかないとじり貧状態になってしまうのかな」

精肉店を改装して4年前にオープンしたばかりの「嘉太郎珈琲」。地震の後に店をたたむことも考えましたが、今は、再び、地域の人たちの憩いの場になっています。
嘉太郎珈琲・能澤隆廣さん:
「あの絵はなんだと思いますか」

お客さん:「犬?トラ?」
お客さん:「ヒョウじゃない」
嘉太郎珈琲・能澤隆廣さん:「正解」
ココペリの作家たちの作品をきっかけに、お客さんたちも会話に花を咲かせています。

お客さん:「入ってきたなり、これ本当に明るく感じた。マスターいかったよ、これ本当に」

作品は、伏木地区の商店を中心に27か所に飾られています。アートをきっかけに伏木の町へ。「伏木まちなか美術館」は10月12日までです。