度重なるケガ、そしてガンを克服した不屈の男。阪神・原口文仁選手(33)が涙の引退会見です。

 (原口文仁選手)「今シーズンをもって現役を引退いたします。なかなか自分の思ったようにプレーできず結果が出ないことが一番の理由」

 チャンスに強い打撃で、代打の切り札として活躍。決め台詞は「必死のパッチ」。明るい性格でムードメーカーとしても愛された原口選手。その野球人生は決して平坦なものではありませんでした。

 高校卒業後、ドラフト6位で入団。その後はケガもあり、育成契約に。それでも金本監督に見いだされ、プロ7年目で初めて1軍の舞台へ。デビュー戦で放った初ヒットには、影の努力がありました。

 (原口文仁選手)「なんとかタイガースの優勝に貢献したいという気持ちを持ちながら。若手の頃から。まだ全然1軍に上がれなかったんですけど、そういう気持ちで、1人で鳴尾浜の室内練習場で練習できたなと思います」

 しかし、2019年のキャンプ前、大腸がんを患っていることを公表。手術を乗り越え、6月に復帰を果たすと、待っていたのはスタンドからの大声援。タイムリーヒットで応えました。

 (原口文仁選手)「病気から復帰して打った1本は、ファンの皆さんにつくっていただいた。特別な瞬間でした」

 16年目の今季は苦しみ、9月にようやく初安打。この1本にはこんな思いがありました。

 (原口文仁選手)「お世話になった人に良いもの見せたいと思ってやった結果が、良いところのヒットになって良かった」

 そんな不屈の男が戦い続けられた理由とは。

 (原口文仁選手)「野球が本当に大好きだという、小さい頃からの気持ちをそのまま持って、自分の中に目標を持ち続けてその目標に向かって進んで来られたので、心が一度も折れることなく前だけ向いて進んで来られたのかなと思います」