文部科学省はきょう(30日)、今年度の「全国学力テスト」の都道府県・政令指定都市ごとの結果を公表しました。ただ、地域ごとの学力差が過度に注目されてきたことに反対の声が上がったことから、地域ごとの平均値は「補助資料」という扱いに留まりました。

「全国学力テスト」は、小学6年生と中学3年生を対象に2007年度から毎年行われてきました。

一方、テスト結果をめぐっては都道府県や政令指定都市が「ランキング」などとして扱われることもあり、一部の知事から反対の声が上がりました。全国知事会の去年11月の資料によると30%の知事が「全国の状況のみ公表」することを求めていることがわかりました。

ある知事からは「全国との平均正答率との差や順位のみが独り歩きしており、教育現場の混乱を助長しかねない状況である」などの意見が出たということです。

知事らの動きなどをきっかけとし、文科省は教育学、社会学、統計学などの専門家と現職の教師や教育長による専門家会議を設置しました。

専門家らの議論を受け、文科省は今年6月、都道府県や政令指定都市の教育委員会に対して、テスト結果の取扱い方に関する通知を出しました。

この中では、「全国学力テスト」は「学習指導要領の理念が浸透し学力の状況に反映されているか等を把握・分析する」ためのもの、と位置付けたうえで、「過去の調査問題について、仮に調査結果として公表される数値データを上昇させることのみを目的にしているととられかねないような行き過ぎた取り扱いがあれば、それは本調査の趣旨・目的を損なう」とも指摘しています。

今年は、この調査が始まって以来初めて、結果が3回に分けられて公表されました。

7月に2回公表された中では、全体的傾向や男女別の結果などが出され、きょう(30日)の公表で初めて地域別の平均点などが出ました。

専門家会議から、「もとの数字を出さないと統計にならない」などと指摘があったこともあり生の数値も公表されましたが、各都道府県の獲得点数のボリュームゾーンが分かる見せ方にするなど、地域差が極端に映らないように工夫がなされています。