中国の海洋調査船が28日、奄美大島沖の日本の排他的経済水域=EEZで、ワイヤーのようなものを無断で海中にのばしているのが見つかりました。元自衛艦隊司令官は「有事を念頭に置いた調査ではないか」とみています。

十管本部によりますと、28日午前6時すぎ、奄美大島の西およそ379キロの日本の排他的経済水域=EEZで、中国の海洋調査船「向陽紅22」が、船尾からワイヤーのようなものを海中にのばしているのを、警戒中の巡視船が確認しました。

巡視船が無線で中止を求めたところ、調査船は3時間半後に排他的経済水域の外へ出ました。

詳しい目的はわかっていませんが、元海上自衛隊、自衛艦隊司令官の香田洋二さんは、有事などの際に「中国軍が潜水艦を安全に太平洋へ行き来させるため、海流や海水温を調べている」とみています。

(元海上自衛隊・自衛艦隊司令官 香田洋二さん)「漁業資源などの調査ではなく、(有事の際)部隊を展開するルートの1つ」「海水温が上昇しているので、昔の(海流・水温)データが使えなくなりつつある。中国としては最新のデータを積極的にとりたいのでは」

「向陽紅22」は去年7月に日本最南端・沖ノ鳥島の北の日本の大陸棚で、ブイを設置したのが確認されています。

外務省は「同意のない海洋調査は認められない」として、外交ルートで中国に対し抗議したということです。