「本当にかけがえのない時間を過ごせた」。日本中を熱狂させた東京・国立競技場で開催された「世界陸上」。女子100メートルハードルに出場した福部真子選手はそう振り返ります。日本記録保持者として臨んだ今大会でした。しかし、「なんで私なんだろう…」。原因不明の病気が福部選手を襲います。世界陸上出場へのハードルは、決して低くありませんでした。逆境を跳び越えてつかんだ夢の舞台。福部選手の“軌跡”を振り返ります。
福部真子選手は1995年10月28日生まれの広島県出身。2024年7月に100mハードルで12秒69の日本記録を達成しました。しかし、その年の10月15日の朝、起きた途端に首に激痛が走りました。その後も何度か39℃を超える高熱が続きます。

福部真子選手
「1番最初は、10月15日に朝起きたとき、左の鎖骨のちょっと上辺りに激痛が走って。『痛っ』みたいな感じで、枕が当たるのも痛いし…」
診断された病名は、原因不明の「組織球性壊死性リンパ節炎」、通称「菊池病」でした。
福部真子選手
「全く聞いたことがなかったので、なんだその病気はと思って。病名がわかったので、これで私解放されると思ったんですよそのとき。でも、お医者さんに聞いたら特効薬がない病気で、原因不明なんだよねって言われて、『えーっ』て感じでしたね」