福山市の運送会社が異業種参入し、ことし初めてコメ作りに挑戦。その稲刈りが18日、世羅町でありました。運送会社が高齢化した農村の即戦力として活躍する中、初収穫のコメの味はどうだったのでしょうか?

標高400メートルあまり世羅町山中福田の田んぼです。集まったのは「ミライズフーズ」という会社のスタッフです。
ミライズフーズ 中川隆希代表・44歳
「水不足という大変な時もあって、いろいろありましたけども、きょうはしっかり稲刈りできると思いますのでお願いします」

「ミライズフーズ」は、「農業の未来を作る」という思いを込めて去年、世羅町内に設立されました。コメ作りはことしが初めて。代表の中川さんがこれから収穫する「あきさかり」の穂を確認します。
ミライズフーズ・中川隆希代表
「本当に自分の子どものように生き物のように感じますね」「炎天下の中、よく耐えて頂きました。ありがとうございます」
コンバインを運転するのは、荒木孝幸さん(46)です。
「まだ1年目なんで、とにかく丁寧に作業したいなっていうのはあるんですけど」
その言葉通り、慎重に田んぼに入りイネを刈って行きます。田植えの時には、荒木さんの隣りに、地元の農家・市尻さんの姿がありました。農業初心者のスタッフたちは、市尻さんの指導を受けながらこの半年間、コメを作ってきました。

母体は福山市の運送会社「大成」…従業員60人ほどの会社です。農業への参入は大畠健志社長の強い思いからでした。
運送会社・大成 大畠健志社長
「兼業農家で育ったのもありますし、実家の周りもやられていない方が増えて来て、お年寄りの方の姿を見て、ボクらが立ち上がらんと」
去年、世羅町内に60アールの耕作放棄地を借り「ミライズフーズ」を設立。中川さんら4人を専従スタッフとして出向させ、野菜を作りました。そして今年、ここ山中福田の集落法人が後継者の不在で解散したため、10年契約で田んぼを引き継ぎました。
元集落法人・奥田弘明さん72歳
「もうやるやる言うても、人手がないんじゃホンマない。10年間を安心して預けられるいうことで喜んでます」
人手不足に悩むほかの地区からも作付の依頼があり田んぼの面積は合わせて5ヘクタールに達しました。そんな中、大畠社長がこだわったのが味です。
運送会社・大成 大畠健志社長
「ボクらみたいな異業種がコメ作ったけえ、コメ作ったから味が美味しくないとかそういうことも言われたくないので、真摯に向き合って」