海に酒を沈めて熟成させる「海底熟成酒」。アルコール度数と香りはどう変化するのか…。富山湾の深海で熟成させる取り組みです。

10月9日の早朝、富山県富山市の岩瀬港沖。朝日を浴びながら一艘の船が、海を進んでいました。


川内大樹さん(33)は漁師ではありません。

川内大樹さん:
「あれみたいですよ」


彼の目的地は広い海の“あるポイント”です。

川内大樹さん:
「どうなっているのか、楽しみですね」



川内大樹さん(海底熟成酒 紹介動画)
「水深1200メートルの富山湾。僕はここにお酒を沈めたいと思った」





富山県富山市桜町にあるバー「HYDEOUT(ハイドアウト)」。

川内さんがオーナーを努める店です。



川内さんの本職は、
ボトルやシェイカーを投げて…、まわして…、
パフォーマンスをしながらオリジナルカクテルを作る「フレアバーテンダー」です。




専門学校を卒業後、溶接工をしていましたが、7年前、たまたま訪れたフレアバーのパフォーマンスに一目惚れ…。



バーテンダー 川内大樹さん:
「めちゃくちゃキラキラしてたんですよね。素敵だなと思って。僕もともとお酒弱くて。でもカクテルにすることでめちゃくちゃ飲みやすくなってしかもおいしく味わって飲めるし、楽しいし、最高だなって…」


フレアバーティングに魅せられ8年目。全国大会で優勝をおさめるなど、着々とその腕を磨いてきました。


しかしお酒への愛情・探究心はフレアーバーティングにとどまらず、ことし新たな挑戦を始めたのです。



バーテンダー 川内大樹さん:
「(きっかけは)ニュースとかで、海底に沈んだシャンパンを引き揚げてきて、それがすごいおいしかったと。それが高値で取り引きされているみたいなニュースから始まって。面白いロマンが生まれるなと思った」




川内さんが挑むのは、海に酒を沈めて熟成させる「海底熟成酒」。そのメカニズムは解明されていません。
ただ、酒を長期間海に沈めることで波の振動が伝わり熟成が促進されるといわれています。








川内さんが海底熟成に選んだのは、富山県南砺市利賀村の香木クロモジを使った蒸留酒「クロモジジン」です。



10月9日、朝4時半。
3か月前に沈めた酒を引き揚げに行きます。
富山湾でシロエビ漁を営む漁師、高校時代の後輩に船を出してもらいました。

漁師 坂林直希さん



バーテンダー 川内大樹さん:
「開封して飲み比べるのが面白い。楽しみですね」



3か月前に沈めた2キロ先のポイントへ向かいます。期待と不安を胸に酒を引き揚げます。ボトルは割れずに残っているのか…。


3か月間、暗い海の底に沈んでいたウイスキーやジンのボトル。どうやら無事のようです。




バーテンダー 川内大樹さん:
「引き揚がりましたね。どうなってるんだろう」