松本市に伝わる「松本押絵雛(おしえびな)」が、長野県知事指定の伝統的工芸品に指定されました。
19日付けで、新たに県知事指定の伝統的工芸品に指定されたのは、松本市のべラミ人形店が唯一制作している「松本押絵雛」です。

押絵雛は、型紙に合わせてカットされた布地と型紙の間に綿を入れ、布で包むことで、平面でありながら立体感があるのが特徴です。
長野県伝統的工芸品産業振興協議会などによりますと、江戸時代に武家の女性の趣味や習い事として始まり、明治時代の中期に生産の最盛期を迎えましたが、1902年、明治35年に鉄道が松本まで開通したことで、関東地方から立体的な人形の坐り雛が入手しやすくなったことなどから、徐々に衰退し、長く途絶えていました。
その後、1970年にべラミ人形店が、博物館や民家に残る押絵雛を参考に生業として復活させ、現在に至っています。
立体感のほか、浮世絵風の面長な顔が特徴で、べラミ人形店では、親子二代で技術を伝承し、すべて手作業で制作にあたっています。
県知事指定の伝統的工芸品はこれまでに、飯山仏壇や内山紙、木曽漆器、阿島傘などが指定されていて、松本押絵雛は24番目の指定になりました。