9月5日に国内最大級の竜巻が発生した静岡県牧之原市では、車中泊をしながら復旧作業を続ける人の姿がありました。管理されていない空き家も被災し、建物を巡るさまざまな問題が浮き彫りになっています。

<社会部 大西晴季記者>
「静岡県牧之原市の災害ごみの仮置き場です。被災から10日以上が経過し、高さ5メートルほどのがれきの山が築かれています」

竜巻により甚大な被害を受けた静岡県牧之原市では、災害ごみの仮置き場に16日も多くの人が訪れていました。

<ボランティア>
「(ごみは)まだいっぱいありますよね、あとどのくらいで片付くのか分からないけど」

<牧之原市環境課 西尾亘主任>
「(災害ごみを)まだ当面の間は受け入れているので、慌てずに持ってきていただければ」

牧之原市では現在、避難所に7人が身を寄せていますが、車で寝泊まりしている人もいます。

<平賀正廣さん>
「こっちも落ちるよ。気を付けないと。これみんな天井が落っこちた。ベッドの上」

平賀正廣さんは自宅で妻と飲食店を営んでいました。竜巻の発生後、しばらくは屋根が飛ばされた家で寝泊まりしていましたが、雨で天井の崩落が進み、身の危険を感じるようになったといいます。現在は、妻と車中泊を続けています。

<平賀さん>
「こんな感じ。少し倒せる。荷物が載っていて、これ以上倒せない」

<記者>
「この姿勢、長時間はどうですか?」

<平賀さん>
「つらいですよ」

平賀さんは住宅を取り壊すことを決めましたが、次に住む場所が決まっていないため、しばらくは車中泊を続けるということです。保健師は車中泊をする際、エコノミークラス症候群に注意してほしいと呼びかけています。

<牧之原市健康推進課 藤巻夏海保健師>
「ずっと狭い空間で寝ていると足の血流が滞ってしまって、そこに血栓ができますと、その血栓が肺に行って命の危険が起きてしまう」

車の中など狭い空間では足などを動かしたりマッサージしたりすることが健康を保つうえで大切だといいます。

<藤巻保健師>
「寝る際はただ頭より足を高くしてもらって寝てもらうことができることかなと思う」

市は住宅が被害を受けた人に民間の賃貸物件に入ってもらう、その家賃を行政が負担する、いわゆる「みなし仮設」を用意する方針で、今週中に具体的な数や時期を決める予定です。

<社会部 荻野旦記者>
「こちらの住宅、トタンがはがれ、屋根が飛んでしまっていますが、所有者が分からない空き家だということです」

被災地では、空き家の問題も浮き彫りになっています。細江区会の2025年2月時点の調べによりますと、地区には所有者が分からない空き家が5棟あるということです。倒壊の危険性がありながら所有者が分からない被災した空き家は、全国的に大きな問題となっています。

<空き家買取専科 玉木潤一郎社長>
「(次の災害が起きた時)いま壊れかけている屋根とか門塀とか、あるいは残置された物品とかが飛散したり、壊れかけているものが壊れたりする可能性がある」

行政の仕事量には限界があるため、地域の住民が市などに被災した空き家があることを報告することも大切だということです。

竜巻の発生から11日。被災地では未だ多くの住民がさまざまな課題と向き合いながら暮らしています。