「ハードルに当たらないんじゃなくて、まずハードルに当たり負けしない体作りを」

織田さん:僕が最初にこの世界陸上を始めたのは30年ぐらい前なんですけど、その時にアレン・ジョンソン(1996年アトランタ五輪金、世界陸上は4度の優勝)っていう伝説の、“ハードルなぎ倒し男”っていたんですよ。なんか言われたりします?

村竹:「ハードルに当たりすぎじゃね」って言われたりします(笑)

織田さん:アレン・ジョンソンは僕(177センチ)と身長がほとんど変わらない。ラシッドくんも身長180センチちょうどぐらいで、あんまり変わらない。今190センチ台の選手とか結構背の高い選手も多いじゃないすか。その中に混ざってると、「どうしてもギリギリをやっぱり攻めたい」ってアレンは言ってたんですよ。そんな思いですか?

村竹:そうですね、ハードルに当たらないギリギリのところで超えていくのが理想。ハードルに当たらないけど、重心が高すぎて浮いたりしてスピードを落とさないみたいな・・・そういう塩梅を見つけるのってすごく難しくて。変に浮くぐらいだったら、ちょっとでも当たってた方が速いんですよ。

織田さん:かするくらい?

村竹:かするぐらい。

織田さん:場所的にはここ(ももうら)ですか?

村竹:付け根の部分です。あんまりももうらは当たらないです。足の付け根の部分とか、おしりの部分。

織田さん:倒れなくていいんだけど、倒れちゃうよね。

村竹:倒れるときもあります。でも別にルール上は大丈夫なので。

織田さん:そうですよね、普通損するんですよ。ハードルに当たるってことは、抵抗になるので、当たって得なことなんてないんですよ。だからよく「ハードルをなぎ倒してずるいじゃないか」って言う人いるけど違いますからね。当たってそれでも速い選手はすごいんです。そこを磨きまくったのがアレン・ジョンソンだった。だからそういう意味ではそこの技術に一番集中して?

村竹:今回の(東京世界陸上の)ハードルはプラスチック製ですけど、海外の試合って結構木製のバーを用いたハードルが多くて。プラスチック製は当たってもしなるので、減速があんまりないんですけど、木製のハードルだと当たるとどうしても思った感じで倒れてくれないので、そこはすごいロスになっちゃう。ハードルに当たらないんじゃなくて、まずハードルに当たり負けしない体を作ろうっていう。ハードルを気にしない、当たり負けしない技術を身につけようと思って、今まで練習してきました。

織田さん:それで、なんと12秒92。これって実は今シーズン世界2位のタイムっていうのは知ってました?

村竹:いや1回出しただけですし、正直何とも言えないです。実際に誰が速いかは、ここ(国立競技場)で走ってわかることだと思うので。

織田さん:その日調子のいい人はやっぱりいるわけで、そこにうまく合わせられたら、勝ちだし。でも、ハードルって素人で見てて、本当にちょっとしたミスも許されないっていう競技だなと思うんで、僕は予選から実は一番注目して観るのはハードルなんですよ。予選で手を抜いてる選手はほぼいないと思ってるんで。

村竹:10台目を終えて、ゴールするまでにちょっと余裕はあるかもしれないですけど、ハードルを超えてる途中は気は抜けないです。出力は少し違うかもしれないですけど、1台も気は抜けないですよね。

織田さん:何が言いたいかというと、110mハードルは予選を見ろということです。これで今大会調子のいい人が誰かわかります。僕が見てもわかるんで、皆さんもきっとわかると思いますので。予選からみんなしっかりとあなたを見てます。ラスト日本中の皆さんに意気込まない程度の意気込みをお願いします(笑)

村竹:12秒台を出してメダルを取ることが目標なので、ぜひ皆さん、見守っていてください。

織田さん:応援します!