北海道立のろう学校に通う児童らが、第1言語の「日本手話」で授業を受けられないのは憲法違反だとして、道に賠償を求めた裁判の控訴審で、札幌高裁は11日1審判決を支持し請求を棄却しました。
訴えを起こしたのは、道立札幌ろう学校に通う小学6年生の男子児童と以前通っていた中学3年生の女子生徒です。
2人は「日本手話」で生活していますが、担任が「日本語対応手話」しか使えないため授業についていけず、憲法が保障する学習権を侵害されたとして、道にあわせて1100万円の損害賠償を求めていました。
2人が使う「日本手話」は目線や表情を合わせて表現する独自の言語です。
一方、「日本語対応手話」は日本語の語順に合わせて手や口の動きで表します。
去年5月、札幌地裁は、「日本手話で授業を受ける権利を保障する法律はない」などとして請求を棄却し、原告側が控訴していました。
11日札幌高裁で開かれた控訴審判決で、斎藤清文裁判長は「憲法は第1言語による授業を直ちに保障しているわけではなく、教員配置には校長の裁量がある」などとして、1審に続き原告側の訴えを退けました。
・原告を支援する立命館大学 佐野愛子教授
「子どもの学ぶ権利が一番重要な権利、言葉がなかったら学べない」
・中学3年女子生徒の母親
「自分たちの授業が成り立っていないことを、こんなにも理解してもらえないものなのか」
原告側は、上告するかどうか「これから検討する」ということです。