ハワイ発の日本航空の機長が乗務前に飲酒し出発便に遅れが出た問題で、国交省が日本航空を厳重注意しました。日本航空は、今後は飲酒リスクが特に高いと判断した乗員は乗務に就かせないとしています。

利用者
「あまりこれから利用しようとは思わない。やっぱり不安ですね」
「正直、またかよというのはありましたね」

飛行機の利用客が呆れるのは、先月28日に起きた日本航空の飲酒トラブル。64歳の男性機長が滞在先のハワイのホテルで乗務前に禁止されている飲酒をしていたことがわかり、ホノルルから日本に向かう3便が最大18時間遅れました。

機長はこの前日にホノルルに到着しホテルに入ると、近くのコンビニで缶ビールを購入。部屋に戻り、午後2時半までに3本飲んだということです。

そして、機長は乗務当日、午前7時に起床すると、自主的にアルコール検査を実施。およそ60回にわたって検査しますが、ホテルの出発時間になっても微量のアルコールが検知されたため、自ら会社に報告したということです。

機長
「これぐらいなら大丈夫だろうという判断で飲んでしまった」

また、機長は検査器の記録について、一部の日付を自身の休日に改ざんしていたことも発覚。過去にも10回ほど、同様に改ざんしていて、日本航空は機長が隠ぺいを図ったとみています。

これまでも飲酒トラブルが相次いでいた日本航空。去年12月には業務改善勧告を出され、過度な飲酒傾向がある社員の「要注意者リスト」を作るなど、再発防止策に取り組んでいる最中でした。

今回飲酒した機長も「要注意者」の対象となっていて、産業医との面談では「禁酒する」と説明していました。

「貴社における飲酒に関する管理監督が十分であったとは言えない」

きょう、国交省は日本航空に「厳重注意」の行政指導を行いました。再発防止策を検討し、今月末までに報告するよう求めています。

利用客
「(要注意者の)リストに一度載ってしまった人は、他の人より検査の回数を増やしたり、他の人よりも厳しくやっていくべきではないのかな」
「機械(検査器)自体を確かにもう日付を変えられないとか、日付入りとかになるんだったらそれでもいいとは思う」

日本航空 鳥取三津子 社長
「誠に申し訳ございません」

「厳重注意」を受け謝罪した日本航空の鳥取社長。飲酒した機長について、近く懲戒解雇の処分にすることを明らかにしました。さらに…

鳥取三津子 社長
「飲酒に関する管理監督の仕組みを早急に見直しを致します」

今後は飲酒リスクが特に高いと判断した乗員は乗務に就かせないとしたほか、滞在先でのアルコール検査の結果を画像で提出させるなど、再発防止策を図るとしました。

元日本航空の機長で航空評論家の小林さんは…

元日本航空機長 小林宏之さん
「パイロットで一番大事なことは自己コントロール。まず飛行機をコントロールする前に自分をコントロールして、初めて安全を確保できる。自己管理できない人が乗務しているということが、今回、度重なるアルコール問題の根本的な原因ではないか。アルコールのリスクを持った人は、一旦、乗務から外すことを社内としては判断していただきたい」