今から200年以上前、宮城から江戸に出港した1隻の木造船が嵐で漂流。たどり着いたのは、はるか北東の地、アリューシャン列島でした。船に乗っていた16人の若者たちはその後、数奇な運命を辿ります。地元に伝わる郷土史を、高校生たちが演劇で披露しました。しかも、セリフは全て英語。果たして無事に演じ切ることはできたのでしょうか。

8月30日、にぎやかな雰囲気に包まれた宮城県石巻高校の文化祭で、慌ただしく準備に追われる生徒たちがいました。演劇を披露する出演者たちです。

「儀兵衛(役柄)、セリフを全体的にゆっくり、声量はいいけど何言っているか聞こえないので」

本番前、ひときわ緊張感に包まれていたのは、台本を手がけた生徒会長の阿部真幌(あべ・まほろ)さん(17)です。自らも大事な役どころを演じます。

石巻高校・生徒会長 阿部真幌さん:
「楽しみもあるけど今は不安の方が強い。劇に出る1人1人が全力を出して最終的に本番でまとまったものを出せればと思っている」

生徒たちが演目に選んだのは、地元・石巻市に伝わる「石巻若宮丸(わかみやまる)漂流民物語」です。1793年、江戸に向かう若宮丸が、嵐で漂流するところから物語は始まります。