「じいじはどこ」

修さんの次女の陳述も検察によって読み上げられた。

修さんはいわゆる「昭和の父親」だったという。大声で怒る時もあり、平日は仕事、休日は趣味のパチンコに行っていたため、子どもと常に遊んでくれるわけではなかった。

だが、次女が子どもを授かると大好きだったタバコをやめた。孫の成長を何より喜んでいたという。家族が集まれる場所を作ろうと、リフォームの計画を自ら立てていた。そして訪れた大工こそ、犯人である佐藤被告だった。

判決公判の廷内

次女は最初、被告にはお金を盗まなければならない苦しい事情があったのかもしれないと思ったそうだ。佐藤被告は裁判の中で「お金を自分のもにしたかった」などと語っていた。次女は「裁判でどれだけ理由を聞いても納得できない」と被告への憤りをあらわにしている。

3歳の娘は今も「じいじはどこ」と聞いてくるそうだ。「ずっと会っていないのに
写真を見ると分かる。『じいじは寝てるよ』と話している。この会話をずっと続けたい」と語る。最後に「父の人生、家族の未来を奪ったその犯行が、法の下で適切に裁かれることを強く望む」と語られた。

開廷から約1時間半に渡って行われた遺族の陳述。佐藤被告は、その間何を考えていたのか…、終始うつむきながら耳を傾けていた。

最後に佐藤被告の陳述が行われ「何か言いたいことはあるか」という裁判官の質問に対し佐藤被告は「修さんには大変申し訳なく思っている。遺族の方にも申し訳ない気持ちだ。私に関わってくれた全ての方に迷惑をかけ、信用を貶めてしまった。
心を入れ替え、罪の重さを背負い、一生かけて償っていきたい。本当に申し訳ありませんでした」と涙ながらに語った。

そして迎えた9月3日の判決公判。仙台地方裁判所は佐藤被告に懲役26年の判決を言い渡した。求刑は懲役30年、弁護側は懲役15年が妥当と主張していた。仙台地裁の榊原敬裁判長は「何ら落ち度のない被害者が死亡し、およそ1000万円を弁済しているとは言え被害額は極めて高額」「被害者の家に多額の現金があると仕事上知った事実を強盗に悪用した」「反省の弁を述べ再犯の可能性は高くない」ことなどを量刑の理由として述べた。

【仙台地裁判決】懲役26年「多額の現金あると仕事上知り強盗のため悪用した」