高齢化で、いずれいなくなってしまうシベリア抑留の体験者。その「リアルな声」を未来につなごうと若者たちが最新技術AIを使って取り組んでいます。
京都府舞鶴市にある舞鶴引揚記念館。ここで語り継がれているのは、シベリア抑留の記憶です。満州で終戦を迎えた日本兵らはソ連軍によってシベリアなどに連行され、強制労働をさせられました。極寒と飢えの中、およそ6万人が命を落としました。
語り部
「横に寝ている方は体調を崩してしまって亡くなられる方。それを見届けている方がすぐ隣にいます」
舞鶴市はシベリア抑留者などを戦後13年間、迎え入れ続けた歴史があります。記念館では20年ほど前から語り部を育てる講座を開いていて、現在、中学生から87歳まで100人を超える語り部が在籍しています。
高校生の語り部
「体験者の話を聞ける時代に生まれてきたので、10年後も20年後も正確な情報を伝えていくようにしたい」
1988年の開館以来、シベリア抑留の体験者も自ら語ってきましたが、今年1月、戦後80年を前に最後の体験者が亡くなりました。
体験者の「リアルな言葉」を未来につなげたい。動き出したのは、地元の舞鶴工業高等専門学校でソフトウェア開発などを学ぶ学生たちです。
学生
「どんなものを食べていましたか」
開発しているのは、あたかもシベリア抑留の体験者と対話しているかのように証言が聞けるシステムです。
記者
「つらかったことはありますか?」
マイクに向かって知りたいことを質問をすると、質問に沿った体験者の証言が再生されます。
過去に抑留体験者3人に行ったあわせて2時間半に及ぶインタビューを学生たちが一言一句、文字起こし。質問の趣旨を理解した人工知能=AIが、適切な回答をしている映像を選んで再生する仕組みです。
学生
「実際に体験した方が証言されるときには気持ちがこもっているなと。その気持ちをそのまま伝えることができるのではないかと思います」
実用化はまだ先になりますが、記念館の学芸員は、従来の一方的な証言動画よりも理解が深まるのではと期待を寄せます。
舞鶴引揚記念館 長嶺睦 学芸員
「(体験者の)話を聞いてきた者としては実際に質問することで理解が深まることを体験しているので、それをこれからの世代にも体験してほしい」
「体験者なき戦後」に備え、若者たちの創意工夫が続きます。
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