特集は、カメラマンリポートです。港町・気仙沼市で夏を楽しむ人々の様子と
唐桑半島の漁港で伝統行事を守り続ける人々を追いました。伊東カメラマンの撮影です。

気仙沼市唐桑町の金取漁港です。海と共に生活するこの地域には、古くから送り盆の朝に行う風習「盆船流し」があります。小麦の藁で編んだ舟で先祖の霊を送り出すのです。

金取漁港で漁業を営む吾妻徳克さん(87)。

吾妻徳克さん:「今87歳だから(漁をして)67年68年。父親は兵隊に行ったからアワビとかウニの採り方はお爺さんの指導で小学校の高学年から教えられた。」

この地域で生まれ育った吾妻さんは、幼い頃から「盆舟流し」を見てきました。

吾妻さん:「私の小さい頃はここから全部盆舟を流したのですが私の知る限りでは70年から80年の歴史はある。昔は参加する人が多かった。ひと家族7人から8人が普通だったから。」

かつて「盆舟」は各家庭で作られていて吾妻さんも祖父から舟の作り方を学びました。

吾妻さん:「去年1人亡くなりましたから(舟を作れるのは)私が今のところ1人。一つでも昔のしきたりや行事を残していきたいな。」

今年、吾妻さんの作業場には盆舟作りを学ぶ一人の男性の姿がありました。
この地区に住む熊谷萬治さんです。この日は一緒に盆船をつくりました。

Q編んでみてどうですか?
熊谷萬治さん:「難しいです。」

黙々と藁を編みこむ2人。
完成まではおよそ140回近く編みこむ必要があります。

編むことおよそ2時間、盆船が完成しました。