瀬戸内市の長島にある、ハンセン病療養所・邑久光明園で、かつて「入所者約1200人の遺体が解剖されていた実態」について、調査してきたグループが検証報告をまとめました。
「正当な同意を得ていたとみなすことはできず、重大な人権侵害だった」と結論づけています。
邑久光明園の園長や入所者、弁護士らでつくる人権擁護委員会が、研究のためとして療養所で行われていた解剖について、検証報告をまとめました。

(国立療養所邑久光明園 人権擁護委員会 近藤剛 委員長)
「園の方針で自由に解剖が行われる、あるいはそれを受け入れざるを得ない雰囲気・状況にあったのではないか」


報告書によりますと、邑久光明園では1938年から1998年の約60年間で、1184人の遺体が解剖されたとの記録が残りますが、「遺族による承諾書」が残っていたのは164件でした。
承諾が無かった可能性と、承諾はとっていたものの記録を破棄した可能性の両方が考えられるということです。
解剖された割合は死亡者の7割に上り、病気の実態が解明された後は、医学的な必要性を失っていたにも関わらず続けられていた、と指摘しています。

また入所者の同意についても、隔離政策のもと、自由意思に基づく正当な同意を得ていたとみなすことはできず、重大な人権侵害だったと結論づけました。

(邑久光明園入所者自治会 屋猛司 会長)
「『物』としてしか見ていない。研究対象の『物』。入所者はあえて拒否して、後の関係が悪くなること自体が嫌であったのではないかと」

委員会は今後、各地の療養所でも検証を行って、教訓を将来に伝えていく必要があると提言しています。