「解像度の高い中国」の姿を伝えるため

校舎を撮影中、付近の住民や通報を受けたとみられる警察官から撮影をやめるよう警告を受けた。学校の取材にナーバスになっていることは明らかだった。こうした対応とは対照的に、中国では海外メディアを積極的に招いて「メディアツアー」が定期的に開催される。通常取材出来ない場所や人をアレンジしてくれる一方、あくまで政府が“見せたい中国”を紹介する意向が強い。そのため私的な見解が披露されるとは考えにくい。

南京の飲食店でベテランオーナーが「中国共産党からすれば、日本が好きな奴らは不良品なんだよ」と冗談めかして言っていたことがある。同席していた若者は苦笑いを浮かべたが、日本贔屓の彼らのことを言いたかったらしい。実際、言論統制が進む中国で警戒の対象となるのは、政府や中国共産党への批判だけではない。日本との距離感にも敏感だ。だがこの敏感な取材を通じてこそ、「解像度の高い中国」の姿が見えてくるのではないか。映画のヒットで反日感情が高まる今なら、なおさらだ。

JNN上海支局 寺島宗樹