リアリティー番組「テラスハウス」での強烈なキャラクターでも話題となった、退職代行サービス「EXIT」の新野俊幸社長。
退職代行の生みの親である新野社長に、若者の新しい働き方や意識の変化、終身雇用が中心の日本の働き方の問題点などを聞きました。

■「会社を辞める=悪」の日本社会 「ポジティブな気持ちで会社を辞めて欲しい」

ーー退職代行を始めた経緯やサービスを立ち上げた思いをお聞かせください。

退職代行サービス「EXIT」新野俊幸社長

退職代行を始めた経緯としては自分が元々はサラリーマン をやっていて、合計で3回辞めていて、どの会社もすごく辞めづらかった経験からサービスを作りました。  
 
日本では、「辞める=悪」のような価値観が根強いので、そこをサポートできるようなビジネスになればいいなと思って始めたんですよね。「辞めたっていいじゃん」「自分の人生なんだから、やりたくないことはもう辞めちゃおうよ」という、ポジティブな気持ちで会社を辞めて欲しいと思って始めたのが、退職代行サービスです。

ーーどの会社も辞めづらかったという、ご自身の経験が元になっているのですね。

自分の場合、新卒1年ですぐ辞めたんですけど、何の成果も出してないのに、逃げ出すような感覚があるんですよね。すごく恥ずかしかったですし、育ててくれた上司に対しての裏切りの気持ちがあって、言いづらかったですね。

それに、「退職したい」と言っても、上司が止めるし、親も止めるし、同僚も止めてくるし、先輩も止めてくるという、誰1人「辞めればいいじゃん」と言ってくれる人がいなかったんですよ。当時は2012年ですけど、頑張って「辞めたい」と言っても、めちゃくちゃ止められました。

■「石の上にも3年」→「1か月で辞めても、その人次第でどこにでも行ける」に変化

ーー新野さんが退職を経験した2012年ごろと比べると、この10年で若い世代の退職・転職に対する考え方はどのように変わったと感じていますか。「辞める=キャリアに傷がつく」のイメージも拭えないのですが。

2012年当時は、「石の上にも3年」というか、「3年働くのが当たり前だ」という価値観があったんですよね。そのくらい働かないとキャリアに傷がつくというのが当たり前でした。それが今は転職する人が増えてきているというのもあって、日本人ですから「みんながやっていれば、恥ずかしくない」という感じで、「みんなが転職しているから俺もできそうだ」と、じわじわと転職する人が増えているのかなと思います。一方で、退職代行の依頼者もじわじわ増えていることを踏まえると、決して「会社を辞めたい」と言いやすい世の中にはなってないだろうなと思います。

ーー私も就活をしていた際に、「石の上にも3年」という言葉を耳にしました。「同じ会社で3年働けないような人は根性がない」「転職なんて以ての外だ」という意味合いで使われていた言葉だった印象があります。

1年で会社を辞めても、極端な話「3か月で会社を辞めても、全然転職は問題ない」だなんて、 昔はあり得なかったわけですよね。「そんな汚い履歴書で転職なんか無理だよ」みたいな。

でも、今はそんなことなくて、極端な話1か月で辞めても、どこにでも行けるんですよ、その人次第で。