富山県が民営化を目指す富山空港について、空港を運営する事業者が22日発表されました。事業開始は来年春の予定で、新田知事は、官民連携による相乗効果で需要をつくり出すとしています。

新田知事は、22日の定例会見で、富山空港の民営化に向けて、県が、東京都の投資会社「日本共創プラットフォーム」を代表企業とする「JPiX・OCコンソーシアム」と基本協定を締結したことを発表しました。

新田知事「県庁全体とさまざまな連携をこの事業者さんととっていく。そこから相乗効果も生まれ、富山県の地域の活性化にも、さまざまな取り組みをしていただけるものと期待をしています」

富山空港は現在、滑走路と駐車場を県が、ターミナルビルを第三セクターが管理、運営していますが、県は、空港全体を一体的に運営することで、利用促進や魅力向上につながるとして、県が施設を保有したまま、運営権を一定の期間、民間事業者に譲渡する「コンセッション方式」の導入を、2023年に決定しました。

公募には2つのコンソーシアムから提案があり、審査委員会での審査を経て、「JPiX・OCコンソーシアム」の選定に至りました。

新田知事「空港の中だけを磨くのではなく、地域に飛び出し、地域を磨き、地域に人が訪れるための『用事』をつくることで需要をつくり出すなど、空港運営に新しいアプローチを取り入れるという提案がありました」

今回選定されたコンソーシアムの代表企業は、コンセッション方式の先行事例である和歌山県の南紀白浜空港の運営実績があり、ワーケーションに特化したビジネス客の誘致などで空港の立て直しを図ってきました。

現在、富山空港は赤字経営が続き、2024年度の利用者数は39万5000人あまりとコロナ禍前の水準を下回っていますが、今回の提案では旅行商品の開発や企業の投資呼び込みなどといった需要創出に取り組み、利用者数を、今後10年間でおよそ14万人増やす目標を掲げています。

新田知事「成り行きに任せていたら富山空港の将来はないと思っています。今回の民間活力を導入することによって、厳しい競争下でも、需要を作り出していく。期待をするとともに、県も一緒に取り組んでいきたいと考えています」

事業期間は2026年4月1日から10年間で、県は、施設の維持・更新費用などの負担金として最大70億8800万円を、運営費として33億円を負担します。

県は今後、県議会での議決を経て10月にも実施契約を締結し、2026年4月から、空港運営事業を開始するとしています。