福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える『老舗物語』。今回は、本宮市で100年以上続く豆腐店です。昔ながらの製法で作られる濃厚な豆腐とその味を楽しめる、ロックなカフェで人気を集めています。

暑いこの時期、ついつい食べたくなるのが、“冷ややっこ”!地元で評判の豆腐を長年作り続けるのは、本宮市の高木地区にある「高橋豆腐店」です。店内に入ってみると・・・

--番組スタッフ「あれ、すいません、ここって豆腐屋ですよね?」

--鈴木浩文さん(高橋豆腐店)「そうです、豆腐屋です。」

外観からは全く想像できない、ロックな雰囲気!!

--鈴木さん(高橋豆腐店)「(初めてのお客さんは)1回入って、みんな出ますね、外に。看板見て、もう1回入ってきて、そこから『お豆腐売ってますか?』と聞かれるので、『売ってますよ』と対応するんですけど。」

そんな初めてのお客さんをびっくりさせる高橋豆腐店ですが、豆腐は昔ながらの味わいで、豆の風味をしっかりと感じられると評判なんです。オススメの食べ方は・・・

--鈴木さん(高橋豆腐店)「豆腐の中心をくり抜いて、そこにごま油を垂らして、醤油を入れてつけながら食べるっていうのが、ちっちゃい時からやっている食べ方です。」

香ばしいごま油と醤油のうま味が豆腐に染みこみ、濃厚な大豆の甘みがふわっと口の中に広がります。

高橋豆腐店の歴史は古く・・・

--鈴木さん(高橋豆腐店)「もう100年は過ぎてると思いますけど。親父の親のそのまた親が始めたと聞いています。」

昔、このあたりでは多くの家で豆腐作りをしていたといいますが、本宮市内で現在も豆腐店を続けているのはここだけです。

今は浩文さんの妹、理江さんが5代目として豆腐を作っています。

--鈴木さん(高橋豆腐店)「親父はね、職人気質っていうか。普段は優しいんですけど、仕事ばっかりの人でした。」

父ヒデオさんは、東日本大震災や2019年の東日本台風の時も、豆腐作りを止めることはありませんでした。

「求められたらやる」――その思いは、今も受け継がれ、365日、休むことなく、毎朝コツコツと豆腐作りを続けています。

高橋豆腐店のこだわりは、大豆をたっぷりと使うこと。濃厚な豆乳の表情をじっと見つめながら、加えるにがりの量を調節していきます。その日の気温や湿度によって仕上がりが変わるので、豆腐作りは毎日が修行です。

こうしてできあがった豆腐は、本宮市内の保育所や小中学校の給食にも使われ、地元の人々の暮らしを支えています。

浩文さんが店内を改装して飲食店を始めたのは、2011年のこと。

--鈴木さん(高橋豆腐店)「きっかけはやっぱり震災ですね。親が弱音を吐くのを見たことがなかったので、自分で、もしできるならと思いました。」

お店の名前は「ローハイド」。その由来は・・・?

--鈴木さん(高橋豆腐店)「ロートハイドって“低くしゃがむ(隠れる)”という意味なんですけど。それで“隠れ家的な感じになれば”と思って「ローハイド」と付けたんです。」

浩文さんは本宮市内の飲食店で20年ほど修行してきた腕前を活かし、豆腐店を違った形で支えています。

--鈴木さん(高橋豆腐店)「本当はお店やりながら豆腐もとか言っていたこともあるんですけど、(父から)二刀流は無理だよと言われて。とりあえずお前は自分の方を頑張れと。」

店内では、ナポリタンをはじめ、様々なメニューが楽しめます。中でも一番人気は、お店自慢の豆腐を使った、『麻婆焼きそば』!食欲をそそるごま油が香り、少しピリっとしたソース、もちもちの麺に、豆腐のなめらかさが加わった、絶妙な味わいです。

さらに、メニューを見ていると、気になるものを発見!「がじゃがじゃ丼」って一体??

--鈴木さん(高橋豆腐店)「お待たせしましたが“じゃがじゃ丼”です。」

ごはんの上に乗っているのは、豆腐!

--鈴木さん(高橋豆腐店)「もともとはまかないで食べていたものをお客さんが食べたいと言ったのが始まり。」

フライパンで豆腐の水分を飛ばしてガジャガジャと炒める様子から、「がじゃがじゃ丼」と名付けました。

生姜が効いた自家製の味噌ダレが豆腐にぴったり!シンプルな見た目からは想像できない、味のハーモニーが広がります!!

--鈴木さん(高橋豆腐店)「普通にみんながワイワイできるところを目指していきたいですけど。笑っていたいですよね。みんなでね。」

ロック好きの浩文さんが作った、豆腐と笑顔があふれる空間。これからも人々が集う隠れ家として、地域に根付いていきます。

『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2025年8月21日放送回より)