アメリカとEU=ヨーロッパ連合は「トランプ関税」をめぐる貿易合意について共同声明を発表しました。アメリカはEUに対する自動車関税を当面、引き下げず、現状の高い関税を維持する内容となっています。

アメリカとEUは21日、先月、トランプ大統領とフォンデアライエン委員長の間で合意していた「トランプ関税」をめぐる協議について共同声明を発表しました。

首脳間での合意の内容をより明確にするためのもので、▼アメリカはEUからの輸入品に対する「相互関税」を15%とするほか、▼従来の関税率が15%未満の品目については相互関税との合計の税率を15%に抑える軽減措置を取ると明記されています。

ただ、27.5%から15%への引き下げで合意した自動車関税については、ただちに引き下げは実施されず、当面、27.5%の高い税率が維持されることになりました。

EUはアメリカからの▼全ての工業製品の関税を撤廃するほか、▼乳製品など農産品の輸入拡大を約束していて、こうした内容を実現する法案をEUが提出した段階でアメリカが自動車関税の引き下げを実施するとしています。

一方、現在、アメリカが品目別の関税を課すことを検討している医薬品、半導体、木材については、税率は15%を上限にすると明記されました。

共同声明について、EUのフォンデアライエン委員長は「世界最大の貿易パートナーシップにおける安定性が確保される」と歓迎するコメントを発表しました。

その一方で、関税交渉を担当していた欧州委員は…

シェフチョビッチ欧州委員(貿易担当)
「残念ながら『ワインや蒸留酒、ビールなどの酒類』については、最も低い関税を維持するリストに含めることができませんでした」

EUはワインや蒸留酒などの酒類について、関税をゼロにするか、最も低い関税の適用を目指していましたが、関税15%の対象となり、今後も引き下げに向けて交渉を続けていくとしています。

ワインや蒸留酒を輸出するフランスの業界団体は「大きな失望」を表明しています。