消防隊員2人が殉職した大阪・道頓堀のビル火災。 2人が死亡した原因の究明や再発防止策の検討を行うための調査委員会が設置され、21日午前に1回目の会合が行われました。

西側ビルを広告伝いに上方に延焼し… 東側ビルの窓ガラスも割れ火が広がったか

 8月18日、大阪市中央区の宗右衛門町で、6階建てと7階建てのビル2棟が焼ける火災があり、消火活動にあたっていた大阪市消防局浪速消防署の消防司令・森貴志さん(55)と、消防士・長友光成さん(22)が死亡しました。    

 消防によりますと、西側の6階建てビルの1階から出火し、外壁の広告伝いに上方に延焼。東側ビル5階の窓ガラスが割れ、そのビル内にも延焼したとみられています。西側ビル1階の室外機近くが、特に激しく焼損していたということです。  

 亡くなった2人は、東側の7階建てビルの6階部分で見つかりました。  

 司法解剖の結果、2人の死因は「酸素欠乏による窒息」で、死後のものとみられるやけどが多数あったことが判明しています。死亡推定時刻は、現場到着の約10分後でした。

空気ボンベを装着も… 到着約10分後に死亡か

 大阪市消防局によりますと、2人は空気ボンベを装着して、別のもう1人の隊員とともに東側の7階建てビルに入り、要救助者の捜索や消火活動を行っていました。

 しかし、そのビルの5階で活動していた際に天井が崩落し、2人は何らかの形で6階に避難したものの、窒息死した可能性が指摘されています。別の隊員は無事でした。

消防局が事故調査委を設置 局長「噴出する黒煙、燃え盛る火炎の中、勇猛果敢に職務を遂行し、全身全霊を捧げた」

 大阪市消防局は2人の死亡を受け、 原因究明や再発防止策の検討を行うために事故調査委員会を設置。21日午前に、1回目の会合が行われました。  

 会合の冒頭、2人に対し1分間の黙とうが捧げられました。


 大阪市消防局・橋口博之局長は、挨拶で次のように述べました。

大阪市消防局・橋口博之局長
「殉職した森消防司令、長友消防士の2名に対し、噴出する黒煙、燃え盛る火炎の中、勇猛果敢に職務を遂行し、全身全霊を捧げたこと。この上ない敬意と尊敬の念を抱いております。森消防司令・長友消防士には、哀悼の意を表するとともに、ご遺族の皆様へ謹んでお悔やみを申し上げます」
「この消防局事故調査委員会で、正確に、かつ徹底的に原因を究明し、私も含め、すべての職員は再びこの悲しい出来事を繰り返すことがないよう、1人1人が安全意識を高め、本能的に発揮できるように努め、また2人の遺志を引き継ぎ、市民の生命・身体・財産を断固として守り抜くことを改めて決意するとともに、組織を挙げた再発防止策に取り組んでください」

 調査委員会は年度内に報告書を取りまとめる方針です。