静岡県熱海市で創業74年を誇る岡田薬局です。この日お母さんと一緒に来店した女の子が、7月に販売が始まったばかりの「アイスクリーム」を買いに来ました。今回のしずおか産は爽快感が味わえる「あたみんと」です。バニラアイスのように見えますが...
<女の子>
「うん、おいしいです」
Q. どんな味がする?
「スースーする」
記者もその味を確かめてみました。
<下田支局 柴田寛人記者>
「お~、ミントの味がグーっと来ますね」
実は「バニラ」ではなく「ミント味」だったんです。薬局で扱う「あるモノ」で味を引き出しています。
<岡田薬局 三井敦さん>
「こちらの方を使わせていただいています」
<柴田記者>
「『ハッカ油』はどんなものなのでしょうか?」
<三井さん>
「ハッカ油には色味はなくて」
<柴田記者>
「基本的には無色透明なんですね。ここからいろんなものに混ぜたりするんですね」
静岡県磐田市出身の三井さんは、4年前、岡田薬局の経営を引き継ぎました。かねてから熱海ならではのお土産を作りたいと思っていた時、調剤で使っている「ハッカ油」が目に留まりました。
<三井さん>
「ハッカってミントだよね。チョコミントアイスをつくるのにハッカ油を使ったら面白いんじゃない?って思ったのがきっかけです」
しかし、販売までには約3年かかりました。アイスクリームをつくるノウハウがなかった三井さんは試作品を作ってもらおうと何軒もの専門店を訪ねました。結果は「おいしくない」「アイスとして固まらない」など、思うような商品にはなりませんでした。救世主となったのは、静岡県伊東市のジェラート工房「R65」です。
<伊豆高原ジェラート工房「R65」 六郷祐太朗代表>
「チョコミントは他のフレーバーと違って特殊なフレーバーで、人によってはちょっと香るぐらいがおいしいって言ってくれる人もいたり、逆にそれだと全然、もの足りない、『(ミントが)入っているの?』っていう方もいたりします。ハッカ油自体は2、3滴も入れれば十分です」
熱烈な愛好家もいるという「ミントアイス」。六郷さんは自分がおいしいと思う割合でレシピを作りました。そして、朝霧高原のミルクをベースにした「ホワイトチョコ」を使って、白いミントアイスに仕上げました。
<六郷代表>
「そのままポンと出されたら、ミントの味がするので、それは脳の錯覚が起きてより印象に残りやすいと思います」
出来上がったアイスに三井さんは「あたみんと」と命名しました。「ホワイトチョコミント」と「ショコラミント」の2種類があり、価格は税込み699円です。
<三井さん>
「観光客も薬局に来られることが多くて、酔い止めとか風邪薬とか買っていかれるんですけども、せっかく熱海なので、観光を盛り上げたい。『薬局でアイスを売っていたよ』というように思い出を持って帰っていただいて、それを家に帰ってから家族や友人に話していただいて、また旅行の思い出に花が咲く。そういう心からの健康というところに役に立てればと思って作らせていただきました」
今後はアイスの種類を増やして、静岡県熱海市のふるさと納税返礼品への登録を目指すなど、薬局の枠を越えた挑戦は続きます。
薬局はメインの商店街から約15分ほど離れていますが、三井さんは「あたみんと」を目当てに薬局までの散策も楽しんでほしいと話しています。
・名称:岡田薬局
・住所:静岡県熱海市中央町4-18
・電話:0557-82-6111
・時間:午前9時~午後6時(土曜日は午後4時まで)
・定休日:日曜日、祝日