■「ロシアは資源大国じゃなくなる」

アメリカはプーチン氏のエネルギー戦略に乗じて潤っているようだが、中国もまたロシアとの絶妙な距離感で、美味しい思いをしている。

立教大学 蓮見雄 教授
「わかりやすく言えば、漁夫の利ですよ。ロシアはエネルギーを買ってもらわなきゃならないから安くても売る。“シベリアの力”というパイプラインを使うんですが、ヨーロッパ向けと比べるとせいぜい4分の1くらい。(中略)“シベリアの力2“を作る話もあるが、これもロシア側が相当負担するだろうし、売れても安い・・・。基本的には中国に頼るしかない。ロシアは資源大国じゃなくなるリスクもある。資源開発の技術が禁輸になってる。西側の開発会社は撤退したし、LNGも自分じゃ作れないし、深いところも掘れない。」

エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)調査役 原田大輔氏
「クリミア併合後に合意したのが“シベリアの力”で、中国は欧州の10分の1の価格でガスを買っていた。国際的に孤立したロシアが頭を下げて長期契約した。それが8年前。それで今度も“シベリアの力2”をロシアが持ちかけてるんですが、今になっても中国は一言もそれを言わない」

防衛研究所 兵頭慎治 政策研究所
「ヨーロッパを揺さぶる目先のエネルギー戦略のために、中国への依存を必要以上に高めている。中ロも外から見ると“反米”で連携しているように見えるが、力関係は明らかにロシアが中国に頭を下げている。この従属関係はロシアにも不本意であると思う」

■中国が6割を握っている

ロシアは自らエネルギー大国として世界の市場から退場した。ではエネルギーを背景にどこの国が世界の覇権を握っていくのか。果たして日本の未来はどうなるのか…資源エネルギー庁の資料では、日本の商社のこんな言葉が紹介されている。「2026年までに開始できる(LNGの)長期契約はすべて売り切れてしまっている。エネルギーの調達はすでに戦時状態だ」 
蓮見教授は気になる問題点を口にした。立教大学 蓮見雄 教授
「日本はロシアとサハリン2との契約を続けたが、生産自体ができるのかどうかが問題。そうすると本気で再生可能エネルギーに取り組まなければならないということになるが、日本もヨーロッパもそうですが、太陽光パネルにしても発電機にしても、すべて鉱物資源が必要になるんです。そしてその鉱物資源の6割を中国が握っているんです。そうすると再生可能エネルギーを進めるためには資源をどう確保するのか…今後本気になって考えなければならないんです」

(BS-TBS 『報道1930』 11月21日放送より)