岡山県倉敷市で、海水の流入を防ぐための水門=防潮水門が破損し、流れ込んだ海水によって周辺の地域の農作物に被害が出ていることが分かりました。水門を管理する岡山県は、「漏水を食い止める対策を早急に実施したい」としています。

海水の流入が発覚したのは、倉敷市玉島阿賀崎にある防潮水門・昭和水門です。1975年に、倉敷市・浅口市・里庄町を流域とする里見川の河口に設置されたもので、先月下旬、周辺の農家から、レンコンや稲などの農作物への被害の報告があり、今月から岡山県が調査を実施。その結果、水門の開閉部のゴムが損傷し海水が流入していることが分かったということです。
また、農業用水などで行われた塩分濃度に関する調査では、計測した32か所のうち27か所から、目安の2.7倍~96倍の数値が検出されています。

(稲作農家)
「せんぶ枯れていて、水があるんですけど、泡立っているのが海水が入っている証拠です。

こうなったらもう稲自体がナトリウムで障害が出て枯れていくので、もうだめな状態になっている」

岡山県は、水門の老朽化に伴う修繕作業を来年度から行う予定にしていました。今回の件を受け、岡山県は「修繕作業の前倒しは難しい」として、別の応急措置を検討する方針を示しています。

(岡山県土木部河川課 國分賢一総括副参事)
「計画的に修繕を行っている。今回、その準備をしているときに漏水があるということは残念。抜本的に直すにはお金も時間もかかるが、応急措置はまずは必要。今の状態であれば、応急措置が一番必要」
岡山県にはこれまでに約10件の被害報告が寄せられています。県は今後、倉敷市や浅口市など、流域の自治体と連携して被害の実態把握に努めたいとしています。