「垂直の世界」に挑む、極限の登山家の姿を描いたドキュメンタリー映画が、福岡市で公開される。監督を務めたのは、自身も登山を続けているジャーナリスト。ともに報道の世界に身を置き、系列局として連携してきたRKB報道局の神戸金史解説委員が、RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で、監督本人にインタビューし、この作品に込めた想いを聞いた。
◆「本当に尊敬できる登山家を取材したい」
神戸金史RKB解説委員(以下、神戸):登山家の凄まじい挑戦を描いたドキュメンタリー映画『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』(109分)が、福岡市のKBCシネマで、11月25日から上映されます。監督はTBSテレビの武石浩明さん。彼と私たちRKB報道局は、ニュースの世界で、長く仲間として一緒に戦ってきました。武石さんは今、富山のチューリップテレビに出向して、報道制作局専任局長としてニュースに携わっています。いま、ZOOMがつながっています。武石さん、お久しぶりです。

武石浩明監督(以下、武石):お久しぶりです!
神戸:すごい映画ですね。圧倒されました、映像の強烈さに。登山家の山野井さんは本当に魅力的な方ですが、チャレンジしている「垂直の世界」に登っていく姿は、まるで横にいるような気分になってきて、観ていて肝が冷えていく。「こんなすごい世界に、なぜこの人は挑戦しているんだろう?」とずっと考えながら観ることになりました。山野井さんの取材は、いつから始めたんですか?
武石:最初に会ったのは30年ちょっと前なんですが、実際にカメラを回したのは26年前です。私も実は、大学時代に山岳部に所属していて、山を突き詰めようと思ったんですが、中途半端に終わりました。「自分の手が届かない、本当に尊敬できる登山家を取材したい」と思ったら、やはり山野井さんしかいない。26年前にヒマラヤに同行して取材した映像と、現代の山野井さん。2つのラインで、紹介していくことになりました。
神戸:武石さん自身も、中国のチョモロンゾ(7816m)を未踏ルートから初登頂している登山家じゃないですか。いま、立教大学の山岳部監督もしている。謙虚におっしゃいましたけど、武石さん自体もクライマーなわけです。私が東京報道部に赴任している時「今週末はどうするのかな?」と聞くと、たいてい「山に行っています」と言うのが武石さんでした。
武石:今、富山にいるので登り放題です。
神戸:時々SNSで見ていますけど、仕事もバリバリやり、映画を作りながら、山も登っている。すごいなと思いました。














