「伊勢エビ漁の網を譲って」福島県で伊勢エビの漁獲量が増加

三重県から500キロ離れた福島県南部のいわき市に向かいました。そこには水揚げされたばかりの伊勢エビが。中には全長30センチを超える上物も。
20度前後の水温を好む伊勢エビはこれまで、千葉県あたりが北限と言われていました。しかし、千葉県よりさらに北の福島県では10年ほど前から伊勢エビが姿を見せ、その量は年々増え続けています。
(漁師)
「去年、おととしあたりから(取れるようになった)」
そのため、福島県の漁師から志摩市の漁師へ「伊勢エビが上がるため漁の網を譲ってくれ」という電話も相次いでいます。
一体なぜなのか、鳥羽水族館で飼育員に聞きました。
(鳥羽水族館・岩出祐子主任)
「水温の上昇が三重県で見られるので、東北でも上がっているのかなと思う。伊勢エビのエサがもしかしたら減っているのかも」

伊勢エビが安定して獲れ始めた福島では、新たな地元の名産にしようとしています。その名も「磐城イセエビ」。「伊勢」の前に「磐城」をくっつけ、ブランド化したのです。
いわき市では、海の温暖化などの影響で、地元の名産サンマの漁獲量が大きく落ち込んでいるため伊勢エビは救世主ともいえる存在です。
「サケの漁獲量は最盛期の数パーセント」伊勢エビで沸く一方で困惑の声も

さらに調査を進めると、いわき市から300キロ、三重県からは700キロも離れた岩手県でも伊勢エビの捕獲情報が入りました。
(鯨と海の科学館・道又純さん)
「アワビの畜養をしている方から『カゴに入っていた』と連絡があって」
伊勢エビの捕獲に沸く一方、山田町では岩手県が県の魚に指定しているサケの漁獲量が激減。飼育員は、昔の海の方が良かったと話します。

(鯨と海の科学館・道又純さん)
「(サケの漁獲量は)最盛期の数パーセント。いままでのあり方のほうがむしろ良かったかな」
人が招いた温暖化によって激変する海の生態系。それは廻りまわって人間の暮らしに降りかかっています。
CBCテレビ「チャント!」11月17日放送より