今が旬の高級食材、伊勢エビ。かつて日本一の漁獲量を誇った三重県志摩市の港では、伊勢エビの水揚げが激減。消えた伊勢エビはどこに行ったのか?調べてみると、意外な場所で伊勢エビが増えている実態が。
「今年一番の少なさ…」海の温暖化で三重の伊勢エビが激減

三重県志摩市の和具漁港は、昔から伊勢エビの水揚げでは日本一の港でした。しかし、2016年には年間40トン獲れていた伊勢エビが、2021年はわずか7トンにまで減少しています。
伊勢エビの活造りが売りの地元の旅館でも、10年前は3000円前後だった伊勢エビのお造り。今では倍の6000円(時価)になっています。
40年以上伊勢エビ漁を続けている小川吉高さんは、波が穏やかな時を狙って仲間の漁師2人とともに、日が昇る前から出港します。前日の朝から仕掛けておいた網からはカゴいっぱいの伊勢エビが獲れましたが…。
(伊勢海老漁師・小川吉高さん)
「(Q素人目には大漁に見えますが?)少ないです。今年一番の少なさやな」
また、仲間の漁師は今までなら網に引っかかっていた海藻がかからなくなったと口にします。

2009年に志摩市の海底を撮影した写真を見ると、アラメやミルと呼ばれる海藻が生い茂っていますが、2022年10月に同じ場所を覗いてみると、水温が上がり海が砂漠化する「磯焼け」を起こしていました。
(伊勢海老漁師・小川吉高さん)
「磯焼けが始まって海藻が取れなくなった時期から伊勢エビの漁獲量が減ってきた」
海の温暖化で繁殖に欠かせない海藻が減り、それと共に姿を消しつつある、伊勢エビ。しかし、意外な場所に姿を現すようになっていたのです。