戦後80年プロジェクト「つなぐ、つながる」です。長崎大学医学部に通うバンダービーン新愛さんは被爆者である祖母の思いを受け継ぎ、核なき世界の実現を目指して活動を続けています。

長崎大学医学部2年生のバンダービーン新愛さん(19)。長崎市出身でドイツにルーツをもつ父と日本人の母との間に生まれた新愛さんは、現在、医学部で放射線の人体への影響などを勉強しています。

長崎大学 原爆後障害医療研究所 高村昇 教授
「原爆被爆者でもそうだし、チョルノービリでもそうだけど、ここ(甲状腺)のがんが被ばく線量高い人で増えた」

長崎大学医学部 2年 バンダービーン新愛さん
「医師になりたいという夢と平和を追求したい。核兵器のない世界を達成したいという夢をどうにか掛け合わせて」

新愛さんの母方の祖母・田川敬子さん(86)は、爆心地から4.5キロの場所で被爆しました。

新愛さん
「おばあちゃんは原爆の時にけがをした人とか、死んだ人とか見た?」
祖母 敬子さん
「見た、見た。もう血はダラダラ、顔でも何ももうドロドロさ、大人でも子どもでも。どんなことがあってもダメ、原爆だけは」

新愛さん
「幼い頃から祖母の被爆体験を聞いて育った、もう二度と原爆が使われないようにしたい」

今年4月、新愛さんたち長崎大学の学生6人はアメリカ・ニューヨークで行われたNPT核拡散防止条約再検討会議の第三回準備委員会に参加。新愛さんはサイドイベントで核保有国の若者たちに祖母の被爆体験などを伝えました。

しかし、各国の代表が参加する準備委員会では、来年の再検討会議での議論のたたき台となる「勧告案」の採択を目指しましたが、核軍縮の進め方に関する表現などについて意見がまとまらず、採択されませんでした。

新愛さん
「人の命を無残に殺めてしまうものを使って、威嚇しながら平和を保つことはやめてほしい、それは本当の平和ではない」

日本被団協にノーベル平和賞を授与したノーベル委員会の一行が先月、長崎を訪れ、平和活動をしている新愛さんたち若い世代を激励しました。

ノーベル委員会 フリードネス委員長
「みなさんが未来であり、希望そのものです」

新愛さん
「平和に携わっている若い世代がしてきたことは間違ってなかった。今後もより一層、活動に拍車をかけていかないといけない」

バンダービーン新愛さん、19歳。祖母の思いを受け継ぐ被爆三世は将来、医師として核兵器のない世界の実現を目指します。