一方、県外の宮大工たちの力を借りて神輿が復活した地区もあります。

輪島市門前町黒島地区で毎年8月に開かれている「黒島天領祭」。

祭りで使われている神輿は約300年前の江戸時代に作られたとされるもので、地震で建物の下敷きとなりました。
それを兵庫県姫路市から来ていたボランティアが知り、修復できないかと地元・姫路の宮大工に依頼。
2024年6月から壊れた部分の修復だけでなく、新たにパーツを作るなどして約8か月かけて地震前と変わらぬ姿に修復しました。

大工の棟梁・福田喜次さん「役に立てたかなっていう一年間。こんな中身の濃い一年間あらへんね。こういう体験させてもらえる職人、ようけおらへんと思います。幸せですわ、これ。能登の人に感謝です」

福田さんが思いを込めて取り付けたのが、今回の修復の記録を書き記した棟札です。神輿の屋根の内側に取り付け、修復は完了しました。
姫路を出発した神輿は、30日午後、黒島町へと戻ってきました。
神輿が姿を現すと、住民からは「おー、懐かしいのぉ」という声があがります。

県外の職人の心意気で地震前の姿を取り戻した神輿。

若宮八幡神社・林賢一氏子総代長「当初のバラバラの状態からして信じがたいですね。祭りを中心にずっとこられたもんで、非常にその点に関してはこれから先、先が見えないんですけども、少しでもねそういう足掛かりになればと思いますね」

大工の棟梁・福田喜次さん「久しぶりやのう言うてくれた言葉、嬉しかったです。地元の人はすることがいっぱいで、自分の生活がいっぱいで、もうできひん。そんなこと自分大工やから分かっとう。だからこういうことで手伝わしてもろうた。要はもう感謝です。自分が」

31日午前、神輿が2年ぶりに黒島のまちなかに姿を現しました。

公民館にたどり着くと、担ぎ手たちが喜びの太鼓を打ち鳴らします。

修復を手がけた福田さんの目には涙が浮かびます。
若宮八幡神社・林賢一氏子総代長「ほっとしたというのが本音です。日常的なのが戻ったなと。家も修復しながらの人たちも結構いるんです。そんな中でこういう復興祭が開かれたんで、熱意と言いますか、そういうの感じられますね。地域の」
大工の棟梁・福田喜次さん「こっちが感動しました。祭り文化途切らされんように協力できたことに、もうほんまに満足です。(Q黒島地区ってどういう存在?)第二の故郷みたいな気持ちになってきております」