30cmの津波でも警戒を! 観測値以上の波が来る可能性
山形キャスター:
続いて津波の高さについて、見ていきます。

北海道太平洋沿岸、そして岩手県では予想される最大の津波の高さは最大で3mと予想されていました。
実際に釧路では30cmの津波が、そして岩手県の久慈港では1m30cmの津波が観測されました。ただ実際には、もっと高い津波が到達している可能性もあるということです。

津波の高さを観測・記録しているのが「検潮所」という施設です。気象庁や海上保安庁、国土地理院など、全国で188か所あります。
今回、検潮所のある北海道・釧路では午後1時44分に30cmの津波が観測されましたが、別のエリアではもっと高い津波が来ている可能性もあるということです。
長尾年恭 会長:
非常に重要なのは、検潮所は波浪の影響、いわゆるサーフィンで使うような短い周期の波の影響を除くために、値が想定よりも小さめに出ます。そのため、例えばリアス海岸などでは、もっと高い津波がきている可能性もあります。
検潮所の値というものは難しい言葉で言うと、「ローパスフィルター」という非常に長周期のものだけを観測するようなシステムになっている。そのため、もしかすると近くでもっと高い津波が局所的に来ている可能性があります。
井上キャスター:
長尾先生が言っていたように、衛星での精度が上がれば、検潮所よりもっと細かくピンポイントで見ていくことができるようになる?

長尾年恭 会長:
海面がどういう形で盛り上がったかが、宇宙からわかれば、物理学の法則で海底地形さえわかっていれば、精密な計算ができます。
今まではその初期津波高というか、一番最初の時刻ゼロにおける津波の形がわからなかった。これがわかる方法が東日本大震災で発見されたということですね。
我々は今それを使って、津波予想や警報の解除をより早く正確に行いたいと考えています。
山形キャスター:
気象庁の会見では、津波警報の解除について「半日から1日はかかる可能性がある」としています。
そして気象庁のHPを見ると、「津波警報・注意報の限界」という項目があり、「津波による海面の変動を精度よくリアルタイムで観測する方法がない」と書かれています。
長尾年恭 会長:
それがようやく見つかったというのが現状です。気象庁も含めて、予測の方はこれ以上早くできないとしても、より正確に解除することを目指しています。より正確に解除ができると、早く救助に行けます。
出水キャスター:
今ある情報としては津波の予想が30cmでも、それよりも大きい波が来てる可能性があるというのを頭に入れて、避難する必要があるということですね。
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〈プロフィール〉
長尾年恭さん
東海大学・静岡県立大学客員教授
日本地震予知学会会長
専門は火山津波研究