空き家率が全国2位という高知の空き家問題に高知県が本腰になって取り組んでいます。放置された空き家が傷んで崩れたりとか、持ち主の経済的負担になったりといろいろ問題になってますよね。管理されずに放置されているのが一番の問題で、県では積極的な情報発信で空き家を減らそうと取り組みを進めています。

少子高齢化や都市部への人口流出、さまざまな要因で増え続ける空き家。先週、県は福井県のNPO法人で活動を続ける空き家問題のプロ・北山大志郎さんを招き、大豊町でセミナーを開きました。

(NPO法人 ふるさと福井サポートセンター 北山大志郎 理事長)
「家は賞味期限があります。売れるタイミングを逃すともう解体しかない。タイミングというのは非常に短いです。福井県の例で言うと、空き家になってから5年、10年も経ってしまうと大幅なリフォームをかけないといけないので、建てるほど(お金が)かかるわけです」

本業は建設業という北山さん。改修や解体費用の具体的な相場金額を交えながら、「問題を先送りする」ことのリスクをわかりやすく説明していました。

(北山さん)
「解体費用もどんどん値が上がっていって、昔は1軒壊すのに100万か150万あったらできたんです。これ今、300万か400万かかります。材料の高騰はまだまだ続いていますので、いろんな意味でも早く決めていく」

【空き家所有者の選択肢について】
(北山さん)
「選択肢は5つしかありません。まずは【①家族で使うこと】。これをまず話し合いしてもらって、家族で使わんということであれば、【②売る】もしくは【③貸す】。他人さんに使ってもらうと、それも難しいということであれば【④譲る】という選択。タダでも渡すという選択もありますし、それも難しいということであれば【⑤解体】。この5つしかありません。ただもう1つあるんですけど、これはしてはいけない選択、【放置】です。

(Q.空き家がこれだけ問題になるということは、やってはいけない選択をしている人が多い?)
(北山さん)
「そうですね。やっぱり今すぐ決めなければならないという制約がないこと(が要因)でしょうね。今決めなくても明日でもいいか、来週でもいいか、もう1年先でもいいかって思う人が多いんですけど、1年先まで問題を先送りしてしまうと何が生じるかというと、建物が老朽化していくということです。老朽化するスピードはやっぱり早いです。思った以上に。特に僕ら一番気にするのは白アリです。床下、あと知らず知らずに雨漏りしてるとかっていうのもありますし、器具の話でいくとボイラーや水道管といった水回りですね。目に見えないところからどんどん傷んでいきますのでパッと見、大丈夫やと思う人も多いんですけど、意外に内部からどんどん朽ちていくことが多いので」

高知県大豊町では県外に就職し生活基盤を移した元町民が、相続した家を適切に管理できず、結果、家が放置された状況に陥るケースが目立つといいます。このため町では2024年から空き家のマッチングツアーを始め、すでに1組の県外からの移住者が、空き家を改修し町で生活をスタート。9月にも3回目のツアーが企画されています。

この日は宅地建物取引士や司法書士など、専門家が対応する空き家相談会も開かれました。中には家だけでなく、農地や山もあって処分に困っているという、山間部ならではの事情がうかがえる相談もありました。

(参加者)
「いらないんですけど、いらないけど仕方ない。順番的に。だから私の代でなんとかしたい」

将来、子どもたちに問題を抱えさせたくないという相談者の切実な思いに、専門家は次に取るべき方策を一緒に考え、アドバイスしていました。

(参加者)
「大変よかったです。希望が持てるような感じですね」
「金銭的な問題ではなくって、ご先祖様が代々作ってくださった山林とか家とか畑とかありますのでね、いい勉強をさせていただきました」

県は空き家相談窓口を開設し、日ごろから電話やメールでの相談を受け付けているほか、各地でセミナーや相談会を開催しています。

(高知県空き家対策チーム 藤村憲彦さん)
「空き家相談窓口では、空き家を手放したいけど、そもそも何から始めたらいいかわからない、そういった方々も対象に相談を受け付けています。補助制度活用のサポートの話だったり、ぜひこの機会に放置せず早めに相談いただけたらと思います」

高知県は9月7日に高知県南国市で、23日に高知県四万十市で、空き家に関する総合イベントの開催を予定しています。南国市の会場ではスペシャルトークショーのゲストとして歌手の三山ひろしさんを招き、空き家問題について一緒に考えます。なおスペシャルトークショーへの参加には事前予約が必要です。詳しくは『高知県空き家ポータルサイト』をご覧ください。予約の受付は8月4日(月)からです。