今年8月、8歳の男の子と祖父が死亡した柏崎市の海水浴場で水難学会の事故調査委員会が調査を行いました。強い引き波が原因で起きる『戻り流れ』に巻き込まれた可能性が高いとしています。

柏崎市の中央海水浴場で調査を行ったのは長岡技術科学大学の斎藤秀俊教授が会長を務める水難学会の事故調査委員会です。

この海水浴場では今年8月海に流された埼玉県の8歳の男の子と助けようと海に入った69歳の祖父が死亡する事故がありました。

水難学会のメンバーは海に向かって黙とうを捧げ、調査に入りました。まず、上越海上保安署から当時の状況や男の子が溺れていた場所、見つかった場所などを聞きました。

【上越海上保安署 畠山正弘 次長】「おじいちゃんとお孫さんの男の子、女の子3人で来た時にはライフセーバーの方もいなかったので遊泳禁止の旗もなかった。だから来た時に自分たちで波が高いかどうかの判断というのはしていただかないと行けないような状態だった」

この海岸の特徴は『戻り流れ』と呼ばれる危険な強い引き波が発生しやすいことです。

砂浜が大きく盛り上がった『カプス』と呼ばれる場所がおよそ30メートル間隔でできていて、このカプスの間のくぼみに引き波が集まり、強力な戻り流れとなるのです。


「ここでもうこの深さなんですね」

すぐに深くなるというのも戻り流れが起きやすい特徴です。長岡技科大の犬飼直之准教授は着色剤を海に流し穏やかな海の流れを確認します。こうした基礎的なデータをもとに事故当日の様子をシミュレーションしさらなる原因究明を行う考えです。

【長岡技科大 犬飼直之准 教授】「地形の状態から波が駆け上がる強さ、そういうものが計算とかで分かるものですから、地形データはとっても大事で、きょうはそういう地形データを押さえるということをやっていく」

事故があった日は午前中は波は穏やかだったものの午後になると天気が急変したそうです。

【水難学会 斎藤秀俊 会長】「安心して遊んでいたところに突然大きな高い波がきた。それがあって一番最初にお子さんが流されたのかなと。2人とも戻り流れで流されてしまったというのは結論していいかなと思う」

水難学会は調査結果をもとに事故原因の分析をさらに進めていくとしています。