海面上昇で水没の危機にある南太平洋の島国ツバルで、オーストラリアへの特別移住ビザの抽選に国民のおよそ9割が申し込んだことがわかりました。

ツバルは気候変動などによる海面上昇が深刻化していて、国連は2100年までに国土の95%が水没すると予測しています。

こうした状況を受けて、オーストラリア政府は2023年、ツバル政府と年間280人のツバル国民の移住を受け入れる特別ビザを発給する条約を締結しました。

ツバル ナタノ首相(当時)
「この協定は希望の光です」

オーストラリア アルバニージー首相
「この協定には気候変動、人的移動、安全保障の3つの柱があります」

今月25日には、この特別移住ビザの初回枠の抽選が行われますが、オーストラリア政府は24日、この抽選にツバル国民8750人が申請したと発表しました。これは1万人弱のツバルの人口のおよそ9割にあたります。

条約は、移住が認められたツバル国民のオーストラリア国内での就労や市民権取得の道を開く一方で、ツバルが他国と安全保障や防衛分野の協定を結ぶ際には、事前に2国間の同意が必要になると定めています。

オーストラリアとしては台湾と外交関係を維持するツバルと関係を強化し、海洋進出を強める中国を牽制する狙いがあるとみられます。