巨人からドラフト1位指名を受け、球団史上初の高卒外野手ドラ1として注目を集める浅野翔吾(17)。遠投115m、50m走5秒9というだけでも超一流だが、最大の魅力は高校通算68本塁打の打撃だ。身長171cm、体重86kgとプロを目指す選手の中では決して大きいとは言えない浅野の体格。なぜ、小柄ながらここまでの打者へと成長することが出来たのか。浅野に尋ねると2つの答えが返ってきた。

① スクワットで培った強靭な下半身

浅野:
自分は下半身が強いというか、自分の中では下半身で飛ばすイメージなので、上半身よりかは下半身しっかり鍛えてやるほうです。

記者:
特別なメニューはありますか。

浅野:
特別なメニューはないですけど、冬はスクワットをして鍛えました。
パッと見でわかるほどの大きな太もも周りは66cm。飛距離の秘密はスクワットで培った強靭な下半身にあった。浅野が3年間を過ごした高松商業は、グラウンドのすぐ横にウエイトトレーニングが出来る環境が整っている。選手たちはバッティング練習などの合間に、それぞれ課題を持ってトレーニングに励むことが可能だ。浅野はなんと200キロのバーベルを挙げるといい、冬の間徹底的に体をいじめ抜くことで、ドラフトの目玉と言われる選手にまで登りつめた。

② 「ボールの下半分を打つ」 カラーボール打ち

浅野が普段から大切にしている練習がある。

浅野:
自分はカラーボールっていう小さい緑のボールを打ってるんですけど、それを思いっきりっていうよりかは軽くバックスピン(をかけて打つ)っていうのを意識して打つようにしてます。

公立高校の高松商業は野球部がグラウンドを全面使用できる日は週2回しかない。それ以外の日は選手たちが学校の余ったスペースを有効活用し練習をするが、そのなかで浅野が大切にして来たのが“カラーボール打ち”だ。硬式球の約1/4の小さなボール。そのさらに下半分を打ちバックスピンをかけることで、飛距離が生み出されるという。高校2年から繰り返しやってきた地道な練習。打席の中でも“バックスピン”を意識しているという。

浅野:
ミート力も上がりましたし、捉え方っていうのがよくなったっていうか。バックスピンのかかったホームランっていうのが増えました。

記者:
バックスピンのかかったホームランで思い出すホームランはありますか?

浅野:
(今年の夏の甲子園の)近江戦で山田(陽翔)選手から打ったホームランっていうのはバックスピンのかかった低い打球で飛んでいったので。

2022年8月の夏の甲子園・準々決勝で、西武に5位指名された近江・山田陽翔(18)から放ったバックスクリーンへのホームラン。ドラフト1位候補としての地位を確固たるものにした打席でもある。

171cmという大きくない体でプロ野球の門を叩く浅野が描く夢はー。

記者:
プロ野球では今季、ヤクルト・村上宗隆選手(22)の56号といった記録が生まれた。自分の中で夢はありますか?

浅野:
56本は打てないですね。ちょっとあれなんですけど、トリプル3とか自分の体とかと考えながら。まだ可能性があるのはトリプル3とか首位打者とかそういったところかなと。プロ野球選手になるっていうことはずっと目標にしていたんですけど、自分は身長が小さいので、同じような身長の小さい選手だったり、小さい子供たちに夢を与えられる選手になりたいです。
子どもたちのヒーローとして東京ドームを駆け回る姿が待ち遠しい。

■浅野翔吾(あさの・しょうご)
2004年11月24日生まれ、香川県高松市出身、171cm・86kg。右投げ両打ちの外野手。屋島スポーツ少年団で野球を始め、屋島シーホークス、屋島中では捕手。U-15日本代表でBFAアジア大会優勝に貢献。高松商では1年夏からレギュラー。2021年12月にイチロー氏から指導。2022年夏の甲子園では準々決勝で近江に敗れるも、10打数7安打、打率.700、3本塁打、打点6、3四球2死球の出塁率.800をマーク。U-18W杯代表。高校通算は68本塁打。2022年ドラフト1位で巨人から指名を受け仮契約。