結婚するときに互いの名字を変えない選択をできるようにする「選択的夫婦別姓制度」。
参院選でも争点の一つとなる中、今後の議論に注目が集まっています。
選択的夫婦別姓を求める 佐藤万奈さん(38)
「結婚するかもしれないってなったときに『私が名字変えるのか』って。『いや、私はやっぱり佐藤だな』って、すごい思って。私、名字変えたくないんだと」
今月5日、札幌市で開かれた選択的夫婦別姓について話し合うイベント。

制度の導入を求める佐藤万奈さん(38)と事実婚のパートナー、西清隆さん(33)です。
2人が結婚したのは、6年前。
2人とも姓を変えたくなかったものの、婚姻届を出すために佐藤さんが名字を「西」に変えました。
選択的夫婦別姓を求める 佐藤万奈さん(38)
「どっちも変えたくなかったら法律婚を諦めて、事実婚するしかない。(改姓と)どちらかしか選択できなかったので」
しかし、佐藤さんは職場で名字が「西」に変わり、旧姓がなくなっていくのを実感していくにつれ、体調を崩し、退職を余儀なくされました。

選択的夫婦別姓を求める 佐藤万奈さん(38)
「(他人からすれば)たかが名字のことでってきっと思う。だけど私にとってはたかがではなくて、自分を表すもので大事なものだったんだなと」
堀啓知キャスター
「実際結婚生活を始めて、一時的にペーパー離婚をする判断になったってことなんですか?」

選択的夫婦別姓を求める 西清孝さん(33)
「(婚姻届の)夫の氏にチェックをつけてくれないか?」って僕が妻にいったことを『恨んでるよ』って言われて、そのときに恨まれるようなことをしたんだって。じゃあ事実婚にしようっていうふうに僕から切り出したと」
現在は「佐藤」の名字を取り戻して体調も回復。

自分たちのような思いをする人が生まれないよう、「夫婦別姓を民法などで認めていないのは憲法違反だ」として国に対して、訴えを起こしています。

「選択的夫婦別姓」の議論が始まったのは、約30年前、法務大臣の諮問機関が「制度の必要性」を提言したことがきっかけでした。
国会でも議論されましたが、保守派の議員らが強く反発し、審議未了で廃案に。

今年、28年ぶりに衆議院で審議入りしたものの採決は見送られ、次の国会での継続審議となりました。

選択的夫婦別姓を求める 佐藤万奈さん(38)
「28年前は私10歳だぞって思って。一体何人分、何年分の思いが積み重なってるのと」

選択的夫婦別姓をめぐっては、「夫婦同姓が日本社会に定着した制度」「家族が同じ姓となることで夫婦・家族の一体感が生まれる」などとして反対の声もあります。
選挙戦では、家族や姓をめぐる候補者の立場も問われています。