夏の高校野球 青森県大会2回戦(青森山田ー黒石 県営野球場)

連覇を狙う青森山田が14日、2回戦から登場。
王者らしい隙のない戦いで、10対0(5回コールド)で勝利しました。

先発のマウンドに立ったのは、2025年春の選抜で先発を経験した乕谷朔ノ助 投手。1回戦17得点をあげた黒石打線に対し、3回を被安打1の無失点にまとめ好投をみせました。

その裏の攻撃で、乕谷の代打に起用されたのが3年生の嶽石皓太郎 選手です。
初めて夏の大会でのベンチ入り。初打席でインコース高めのスライダーを捉えると、打球はライトスタンドに吸い込まれ、公式戦初めてのホームランとなりました。

青森山田 嶽石皓太郎 選手
「絶対に打ってやろうと思って打席に入りました」

嶽石選手のその思いは、人一倍強かったといいます。

嶽石選手は2024年の秋からベンチ入り。外野の守備力と走塁を買われ、県大会と東北大会を戦い、選抜を目指しました。しかし、選抜を控えた年明けに腰の「ヘルニア」を発症。全治3か月を言い渡され、満足に野球ができない日々が続きました。

嶽石選手は選抜出場を目指すため、手術はしないことを選択。しかし、守っていたベンチ枠はライバルたちに奪われてしまいました…。

青森山田 嶽石皓太郎 選手
「つらかったですね。病院にいくたびに両親にラインで報告していましたけれども、もうだめだと…」

弱音を吐く嶽石選手を励まし続けたのは、北海道に住む両親だったといいます。

青森山田 嶽石皓太郎 選手
「『楽しんで』と『前向きな言葉』をよく言われました」

ひたすら前を向き続けた嶽石選手は、再び夏の大会でベンチ枠を奪取します。守備・走塁だけでなく、監督からは「代打は嶽石から行く」と言われるほど打撃力を強化。まさに“代打の切り札”として、この夏の打席に帰ってきました。

青森山田 嶽石皓太郎 選手
「きょう(14日)は(両親は)来ていなくて、準決勝から見に来る予定です。絶対に打てるようにがんばりたいです!」

けがはまだ完治しておらず、痛み止めの薬を飲みながらプレーしており、コンディションは万全とはいえないなか、それでも「試合に出たい」その一心で前を向き続け、14日に初アーチを描きました。

春は、両親とともにスタンドから見ていた甲子園。
次は自分自身のプレーを両親に見せるために―。
嶽石選手は、この夏、再び“夢の舞台”を目指します。