ローカル線の厳しさを逆手にとって全国にPRです。
JRが沿線自治体に対し一部区間のあり方についての協議を求めている木次線で、ほとんどの列車が小型ディーゼルカー1両で運転されていることを生かした観光PRが始まりました。


雲南市のJR木次駅。
行列の先にいたのは駅員さんではなく、島根県の丸山達也知事です。
この日、知事がハサミを入れたのはこちらの特別チケット。

チケットには「一両列車の聖地」というロゴマークが見えます。
そして。

島根県 丸山達也 知事
「なかなか乗れない、1両編成のこの聖地」

知事らが除幕したのは先ほどのロゴマークです。

雲南市・石飛厚志市長(木次線利活用推進協議会会長)
「木次線を何とかPRしたい、そういう風に悩んでおりましたところ、丸山知事がこの木次線を見られて、おお1両編成可愛いね。いいねと。これ使えるんじゃないの。」

JR西日本の路線の中でも木次線は乗客が極めて少なく上下28本の列車の内、23本が1両編成で運行されています。

島根県 丸山達也 知事
「ローカル線を極めた路線だと。東京と違う価値観で売って行かなきゃいけないなという風に皆さんと相談させて頂いて(決めた)」

1両編成の列車がのんびりと美しい田舎の風景の中を走るイメージのロゴマーク。しっかり3段スイッチバックも描かれています。

石飛厚志市長(木次線利活用推進協議会会長)
「インパクトのある打ち出し方をしないと全国に伝わらない。これだったら受けるだろうということは当然考えました」

知事)「次の目標は満員の1両列車を皆さんに撮影してもらうことですね」

沿線自治体でつくる木次線利活用推進協議会と島根県では、今後、このロゴマークを使いながら都会では味わえない鉄道体験ができると木次線をアピールして行く考えです。

ところで、一緒に拍手しているこの男性。

「木次線応援コミックスを制作頂き、今回のプロモーションにもご協力を頂いております木次線応援プロジェクト代表の江上英樹様」

以前、超閑散区間の定期券を持つ男、として紹介した元漫画雑誌編集者で、木次線の3段スイッチバックを舞台にしたコミックスを制作中の
江上英樹さんです。

江上さんは奥出雲町の出雲横田駅で列車に乗り込みスイッチバックを登って向かったのは道の駅奥出雲おろちループです。

江上さんが2022年の鉄道マンガ展に合わせて作り、その後、徐々にブラッシュアップされて来たのがこの木次線の3段スイッチバックを再現したジオラマです。

現在、この道の駅に展示されていて、今回、江上さんから木次線利活用推進協議会に寄付されました。

雲南市 石飛厚志 市長
「子どもに戻ってしまう。じーっと見ちゃうんですね。こういう仕組み、こういう工夫でこの山を登っていたんだなって子どもたちにも分かり易くなってるんじゃないかなと。是非本物のスイッチバックをですね、体験して欲しいな」

中心部分だけでも2キロ四方ほどある広大な3段スイッチバックは全体を一望することは出来ません。

協議会ではこのジオラマを各地で出張展示。鉄道ならではの技術であるスイッチバックの仕組みを予習して、乗客や沿線を訪れる人を増やしていきたいと考えています。

道の駅奥出雲おろちループ 藤原紘子 駅長
「(木次線に)乗って来られて、また(ここでジオラマを)見られて、ああこういう風になってたんだって。ここで知って(木次線に)乗りに行かれる方もいらっしゃいますし。初めてやっぱ知られて感動される方っていうのはいらっしゃいます」

江上英樹さん
「全国からここに来たいな、それこそ『聖地』ですよね。そんなもんになったら良いなと。全国で同じような形でなかなか苦しい状況のローカル線もありますし、そういう所の魅力をですね、ここを発信源にして皆さんに伝えたいなと」

制作中のコミックスも88回目の木次線全通記念日の今年12月12日お披露目の予定で、木次線の「聖地」化を目指して様々な動きが本格化しそうです。