日本の“提案”トランプ氏に響かず 今後の交渉は?
藤森祥平キャスター:
参議院選挙が終わるまでは新たな税率は示されないのではないかという見方もお伝えしていましたが、トランプ大統領はなぜ早々に税率を上げてきたのでしょうか?

ワシントン支局 涌井文晶記者:
トランプ大統領が日本との交渉に強い不満を持っているということが表れた結果だと言えると思います。
トランプ大統領はこれまで日本を含めて14か国に新たな関税を通告しているのですが、4月に発表した相互関税より税率が上がったのは、日本とマレーシアの2か国だけでした。
トランプ大統領が最近「日本はコメ不足なのに我々の米を受け取らない」「自動車も購入しない」となどと不満を漏らしていたことからも明らかな通り、日本の提案はトランプ大統領には響いていないということが浮き彫りになったと言えます。
小川彩佳キャスター:
赤沢大臣が何度もアメリカに足を運び、7回にわたって交渉を行ったにも関わらずという展開ですが、今後の日米交渉はどうなっていくのでしょうか?
涌井文晶記者:
トランプ大統領は、各国の提案内容によっては関税を見直す可能性があると話しています。
4月に相互関税を発表した際には金融市場が混乱し、アメリカ経済がクラッシュしかねない状況に陥った反省もあることから、高い関税率を示して各国に圧力をかけつつ、各国からもう一段譲歩を引き出すため、交渉期間を実質的に8月1日まで延長したという状況です。
ただ、日本は20日に参院選を控えていることもあり、一段踏み込んだ新たな提案を出すのはなかなか難しいというのが現状です。
藤森キャスター:
先ほど、赤沢大臣がアメリカのベッセント財務長官と午後9時から約30分間にわたって電話協議をしたと日本側から発表がありました。改めて率直かつ突っ込んだ議論を行うとともに、日米間の協議を精力的に継続していくことで一致したということです。
小川キャスター:
とはいえ、これがトランプ大統領の判断に影響するかどうかはわからなくなってきましたね。

国際情報誌「フォートナイト」元編集長 堤伸輔さん:
これまでを見ていると、影響しない可能性の方が高いですよね。そもそもベッセント財務長官たちには決定権がなくて、全部トランプ大統領が決めているわけです。
それから、4月以降の動きを見ていると、トランプ大統領はほとんど譲る気はありません。だから、赤沢大臣が7回も行っていると責めるのはちょっと酷かもしれません。
ただ、日本側にもアイデアがなかったことは否めない。例えば、イギリスはアメリカ産の牛肉を入れる枠を拡大したのですが、イギリス側もしっかりと同じ量を確保しています。
そのように個別に取るところは取る、というような交渉をやれているので、日本ももう少し見通しを立ててアイデアを持って臨むべきだったとは言わざるを得ないと思います。

小川キャスター:
アプローチを何か変えていく必要がありますね。
堤伸輔さん:
今のままのアプローチでは何も変わらないと思います。
================
<プロフィール>
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
政治から社会問題まで幅広い報道に携わる














