2024年7月、高知市の小学校の水泳授業で、当時4年生だった男子児童が溺れて亡くなりました。事故から1年が経ったのに合わせ、遺族が取材に応じ、悲痛な胸の内を明かしました。

2024年7月5日、高知市の長浜小学校の水泳の授業が、プール設備の故障に伴って、水深の深い近くの中学校のプールで行われました。そこで、4年生だった松本凰汰くんが溺れ、死亡しました。

事故から1年が経つのに合わせ、このほど、凰汰くんの両親が取材に応じました。

◆凰汰くんの母
「“普通”って、すごいなって…。ずっと続くと思っていたので…」
◆凰汰くんの父
「“当たり前”やと思っちょったもんね。このまま、5年生・6年生になって、卒業して中学校へ行って…」

家族のその日常は、突然、失われました。遺族は、事故から1年が経っても、凰汰くんがいなくなった事実を受け止められていないといいます。

◆凰汰くんの母
「『なんで凰汰​がおらんがやろ…なんで凰汰​に触れんがやろ…』っていう…。“不思議”というか“違和感”しかない。日に日に、それが強くなる…」

事故後、水深や監視体制を指摘した検証委員会の報告を受け、教育委員会は、「バディシステム」の導入などを明記した新たなマニュアルを作成しました。さらに、教諭向けの研修を行うなどして、2025年6月、水泳の授業は再開されました。

しかし、凰汰くんの両親は「対策は完全ではない」と指摘します。

◆凰汰くんの父
「『どうして、もっと前からやってくれんかった?』って…。教諭の安全講習にしても、そう。『たった2回の講習で何が覚えれるが?』って…。『講習内容を理解したかどうかのチェックはしたが?』って聞いたら、『してません』って…」

この事故をめぐっては、当時の高知市教育長や小学校校長ら7人が、業務上過失致死の疑いで書類送検されていて、「事件」としての捜査も進められています。

◆凰汰くんの父
「どんな可能性もあったはずやけど、たったあの1日で全部なくなってしもうたやん、あの子の未来は…」

◆凰汰くんの父
「凰汰に、会いたい。『1年って、けっこう長い』と思いよったけど、あっという間やったなって」

◆凰汰くんの父
「うちは家族7人そろって完成やと思っちょったき…。腹の底から笑うことはないかもしれんね、これから先もね」